「夢の東京F1グランプリ!の巻」(ジャンプ・コミックス126巻収録)

今回は、F1のレースを「公道」ならぬ「私道」で開催するお話をお届けする。

そのスタート地点が、両さんの生家がある台東区・浅草だ。勝手知ったる土地での競技とあり、両さんにはたっぷりとアドバンテージがあるわけだが、さて……。

今回のお話が描かれたのは、2001年のこと。当時は地上波でレースの放送が行われており、日本でのF1への関心は現在よりも高かった。

天才ドライバー、アイルトン・セナによってマクラーレンチームが無双していた1980年代に続き、フェラーリとタッグを組んだ新世代ドライバー、ミハエル・シューマッハがF1を牽引しはじめていた時代だ。

同時に、キミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソら、2000年代のF1でスターとなるドライバー達がデビューを飾っており、有力なドライバーが群雄割拠していたのだ。

また、現在のようなタイヤサプライヤーが一社体勢ではなく、ブリヂストンとミシュランが日仏タイヤ戦争を繰り広げていた時代でもある。

ちなみにサーキットでなく公道を使ったF1のレースというと、フランスの地中海沿岸にある独立都市国家・モナコでのそれがよく知られている。最高速度300km/h台に達するF1を歓楽街のど真ん中である浅草で開くのは夢物語だが。

1980年代後半からのバブル景気の影響もあり、日本でも臨海副都心などでのF1レースが企画されたことがある。

また、本作において中川がその財力にものをいわせて行った「土地の買い占め」は、バブル景気の頃に世を騒がせた、土地の転売で儲ける「土地転がし」をどこか彷彿とさせる。

それでは次のページから、両さんが最速マシーンでムチャクチャな爆走を見せるお話をお楽しみください!!