実は富裕層だけでなく中流層にとっても購入に値する商品
高級クリスマスケーキのターゲット層について、フードアナリストの重盛高雄氏の見解を伺ってみよう。(以下、「」内は重盛氏)
「3万円オーバーという価格帯のクリスマスケーキも、富裕層だけではなく中流層にもターゲットに入るのではないかと思います。年に一度の“ハレの日”を有意義に過ごしたいという方々には非常にいい商品ではないでしょうか」
重盛氏の見解も「ハイアット リージェンシー 東京」の回答と符合するところがあるが、クリスマスケーキに3万円以上使う世帯とは現在一般的なのだろうか。
「当然ながら使える金額の上限はあるので、『何にお金を使うか』は重要ですが、ホテルのケーキならクオリティの信頼は担保されているし、なによりホテル名がブランド化しておりバリューがあります。
そのため中流層の消費者にとっても、年に1度のクリスマスというハレの日には、購入するに値する商品だと認める人が少なくないのでしょう。
高級シティホテルの歴史や格式といった商品を裏付けするバックボーンも、購入する価値に含まれているのではないでしょうか」
たとえば先ほど紹介した「ハイアット リージェンシー 東京」の「ノエル・ネイジュ」は、雪が降り積もる大きなモミの木をモチーフにしたケーキで、高さが約33cm、重さが2.5kgもあってビジュアルからして豪華な存在感がある。
たしかに、こういった高級シティホテルのクリスマスケーキがテーブルの中央にあるだけで、自宅であってもその空間と時間が格上げされたように感じるのではないだろうか。
その価値を考えれば、富裕層だけでなく中流層も手が出せる価格帯なのかもしれない。
「ですからこういった高級クリスマスケーキの登場は、格差社会が広がっている影響というわけではなく、クリスマスというハレの日に有意義な時間を過ごそうという中流層の水準が上がっているためだと考えています」