いずれはAIやロボットといった分野への進出も
――事業承継にあたり、先代から何か要望はあったのでしょうか。
先代からは社員の雇用を継続してほしいということと、商品のこだわりとして開発に力を入れた特別なシリコンも継続して使ってほしいと言われています。
工場には東京藝術大学卒の社員が3人ほどおり、みんなものづくりが好きです。造形はまさに一流です。
――承継しながらも、新しい展開はお考えなのでしょうか。
そうですね。軽量化できるよう工夫したいと考えています。現在の商品は30キロほどあり、高齢者にはかなり重い。それと同時に、品質を変えずに価格帯を下げる改良もできたらと。
また、なんと言っても「ラブドール屋」という枠に収まらないように、企業としての価値を高めていきたいと考えています。
――どのように高めていくのでしょうか。
現在でもオリエント工業のラブドールに女性のファンは多くいらっしゃいますが、より広い層のニーズに応える商品開発をしていきたいと思うのです。
先代が築いた「心の安らぎを得られる女性像の開発」はそのままに、「球体関節人形」という10センチから70センチほどのドールの開発も視野に入れています。
着せ替え人形として男女問わず広い年齢層の方にオリエント工業の技術を広めたいと思います。
それと福祉方面ですね。介護用として高齢者のそばに置いて安らぎを与えられるような。あとはなんと言っても、テスラやホンダなども開発に乗り出しているAIやロボットといった分野への進出も考えています。
――テスラやホンダなどが開発するロボットは、二足歩行の“ザ・ロボット”って感じですけれども、オリエント工業が作るとしたら?
そこはやはり、より親近感のある、安らぎを得られるような造形にしたいですね。
骨組みが剥き出しの状態ではなく、やはりオリエント工業が開発に心血を注いだシリコン素材の人型ロボットを開発できたらと思います。