前編では、等身大フィギュアのメーカーと、『新世紀エヴァンゲリオン』綾波レイの等身大フィギュアを「家族」同様に大切にしている女性に話を聞いた。
後編で取材したのは、『Re:ゼロから始める異世界生活』(リゼロ)にメイドの少女として登場するレムの等身大フィギュアを所有する31歳男性のレムニアさん。静岡県の富士山麓にある一軒家に両親、兄とともに住んでいる。レムを飾ってあるレムニアさんの部屋に入った瞬間、思わず「すごい!」という声が出た。
カードローンと親からの借金で購入
4畳半ほどの部屋の中にあるのは大きなベッドとパソコンのデスクで、それ以外のスペースは、壁一面と天井に至るまで、全てがレムのフィギュアやタペストリーなどのグッズで埋めつくされているのだ。そして、大小さまざまなスケールのフィギュアが飾られたアクリルケースの奥、床の間に身長140センチの等身大サイズのレムがいた。
「等身大のレムを購入したのは2016年です。ネットニュースを見て、買う!と即決しましたが、値段を見たら158万円プラス送料2万円。ちょっと悩みましたね。当時は恥ずかしながら、お金が全然なかったんです。給料は安かったし、僕はお金があったら使ってしまうタイプ。その頃、たまたまいろんな買い物が重なっていたこともあり、所持金を全てかき集めても40万円。購入金額に全然足りませんでした」
それでもレムニアさんは諦めきれなかった。2社のカードローン会社に融資を申し込んで90万円を工面したが、もともとの所持金を足しても等身大フィギュアの価格には届かなかったため、最後の手段に打って出た。
「家族会議を開いて、親に頼み込みました。最初は両親も深刻な顔をして『本当に(お金を)返せるの?』と言っていました。でも、うちの家族は父親を除いて、母も3人の姉たちもみんなオタクなんです。なので、こういうことには寛容で。何とか親にお金を借りて、購入費用をかき集めることができました」