「その程度で傷つきもしない」
過去の自身について笑顔を浮かべながら振り返る宇垣。
そんな彼女に「逆にあきらめることができないことはありますか?」と問うと、真剣な表情で答えが返ってきた。
「後に続く人が嫌な思いをする可能性があることに対してはあきらめたくないと思っています。
誰かの言葉で私が傷つくのはいい。もはやその程度で傷つきもしない。でもその人の言葉が今後、他の人も傷つける可能性があるなら、私が止めたいな、と思うんです。
女性だけでなく男性も含めて、私の後に続く人たちには傷つくような経験をしてほしくないんです」
――年齢を重ねたことで感じることはありますか?
「最近は、“ちょっと体力が…“っていう問題はもちろんあります(笑)。
でも一番は、“若くない女性になれる“ということ。
これまで、若い女性であるからいただいたチャンスがあるし、お目こぼししていただいたところもあったでしょう。もちろんありがたいと思うと同時に、それは“若い女性“だからであって、“私”だからではないんですよね」
――自分よりも若い世代の方に何か伝えるとしたら、どんなメッセージを送りたいですか?
「“大丈夫だよ“って言ってあげたいですね。あなたが頑張っていることを見てくれている人は絶対いるからって。
例えばメイク、服装、言語や言動もそう。誰かに嫌われないために自分を押し殺すことほど悲しいことはないと私は思っていて。自分が好きな自分でいられるように努力することは、大切にしてほしい。それは年齢限らず全ての人に大切にしてほしいことだなって思います」
自身の思いをつらぬきつつ、後輩の手本でありたいと考える宇垣。「後輩の鑑になっているのでは?」と尋ねると、「鑑になんてなれないですよ」と言いながら、言葉をつづけた。
「王道な道はたくさんの先輩たちが整えてくださった。私は、“こういう女性がいたっていんだ”と思ってもらえるような、わたしなりの道を整えていけたらなって思っています」
インタビューを通じて感じたのは、彼女が「私は私らしく生きたい」という意志と、「後に続く世代がつらい思いをしないでほしい」という願いをもって活動しているということ。そんな彼女の姿に、多くの人が勇気づけられるはずだ。
取材・文/羽田健治
撮影/東京祐