打撃投手の仕事は打ちやすい球を投げること
では、具体的に打撃投手の仕事内容について見ていきましょう。
試合前のバッティング練習では、選手たちはイメージと動作にズレがないか、スイング軌道に狂いがないかなど、選手自身でチェックポイントを確認します。
キャンプでは数多くのバッティング練習をすることで、そうした動作や感覚などを私なりに固めていきます。
打撃投手が一定の打ちやすい球を投げることで、そうした確認作業を効率良く進めることができるのです。
では、打ちやすい球とはどんな球なのでしょうか。
工業製品や農作物に「規格」があるように、私たち打撃投手が投げる球にも「規格」のようなものがあるのです。
①球速は100キロから110キロの間
②球種は垂直方向のバックスピンがかかった直球(フォーシーム)
③コースの基本はど真ん中(打者がコースを指定する場合もある)
④投球間隔は、打者の間合いに合わせる
これが理想ですが、機械ではないので完璧にはできません。それでも、いつもできるように努力しています。
それぞれ、本職の投手から打撃投手になる時に対応しなくてはいけません。
打撃投手の「常識」として、打撃投手の握りというのがあります。本職の投手のストレートの握りは人差し指と中指をくっつけて縫い目にかけますが、人差し指と中指の間を開いて握ると左右のブレが小さくなるのです。私も先輩から教わりました。
打ちやすい球を投げるのは簡単そうで難しいのですが、何より厄介なのは精神的重圧との戦いです。