トヨタが「自動車産業大変革期」を勝ち残るのに必要なこと――テスラとの再提携“西側最強タッグ”結成のインパクト
これからの自動車業界は何が起こってもおかしくない大変革期に入る。そんな厳しい時代にトヨタが生き残っていくために必要なこととは。元トヨタ・レクサスブランドマネジメント部長である髙田敦史の著書『トヨタの戦い、日本の未来。──本当の勝負は「EV化」ではなく「知能化」だ!』より一部抜粋、再編集してお届けする。
トヨタの戦い、日本の未来#1
トヨタがテスラから学ぶこととは?
私は生産分野の専門家ではないが、トヨタが導入する「ギガキャスト」はテスラの「ギガプレス」と同様の方式であり、テスラのパーツを自社工場で生産できればコストも下がる。
ちなみにトヨタが2019年に発売したスポーツカー(スープラ)はBMWとの協業で生まれたが、プラットフォームはBMWの「Z4」と共用している。ガソリン車と較べるとEVはこのようなことがより容易にできるはずだし、走行性能などの差別化も車載OSで行うことができる。
前回の提携ではテスラがトヨタのフリーモント工場を購入したことで多くのことを学んだが、今後はトヨタがテスラから学ぶこともある。自動運転技術やOTAなどでも協業関係ができれば今後のトヨタ車の開発にも大いに参考になるだろう。そしてテスラにとってもトヨタの販売網を活用できるメリットは極めて大きいはずだ。
トヨタとテスラが再度提携するインパクトは世界の自動車業界に大きな衝撃を与えるだろう。中国メーカーが国家の戦略と一体になってますます勢いを増す中で、トヨタとテスラがタッグを組むことは最強の対抗手段になるのではないだろうか。
私はトヨタでマーケティングの仕事をしてきたが、もし私がまだトヨタにいれば、「両社協業の新しいブランド」を立ち上げてみたいと思うだろう。
文/髙田敦史
2024年10月25日
1980円(税込)
ISBN: 978-4797674545
トヨタが「自動車業界100年に一度の大変革期」に生き残る戦略とは!? 31年間トヨタ自動車に勤務し、商品企画、海外駐在、レクサスなどのブランディング業務に従事した著者は「ハードとしての『EV化』は出発点に過ぎず、本当の勝負は『クルマの知能化』にある!」と分析する。 本書は「トヨタへの大胆かつ具体的な提案」にまで踏み込み、更には日本企業全体のあるべき姿にまで考察を広げた――ビジネスマン必読の書である!
EV市場を牽引してきたのはテスラとBYDである。直近のEV販売は減速しているが、新しい流れであるSDV(Software Defined Vehicle)の登場により自動車は更なる進化をしていくはずだ。トヨタは2022年12月に「2030年までに30車種のEVを投入、年間販売台数350万台を目指す」と発表するとともに、脱炭素化の多様な道(マルチパスウェイ)も維持する独自の戦略を展開している。本書はトヨタの具体的な取り組みと課題について詳細な分析を行っている。 IT企業の存在感が増す中でも、自動車産業は依然として各国の基幹産業である。特に日本は「自動車の一本足打法」とも言われ、中でもトヨタの存在感は群を抜く。トヨタの今後を考えることは多くの日本企業にも様々な示唆を与えてくれるはずだ。 巻末特別付録「次世代自動車キーワード集61」付き! 今後のトヨタと自動車産業の未来、そして多くの日本企業の生き残りを考える上で必読の一冊。