「猛暑の翌年は花粉が増える」は間違い?

いよいよ10月後半に差し掛かるが、秋花粉シーズンはいつから始まっており、いつ終息するのか。

「実は、ブタクサ花粉はお盆あたりから始まっています。ブタクサは夏の終わりから咲き始めて、10月には咲き終わる。ブタクサ花粉も11月にはほとんど測定されないので、症状が出ている人はあと少しの辛抱ですね。一方で、カナムグラとヨモギは11月くらいまで花粉の飛散が続きます」

ヨモギの花粉は11月くらいまで続くという
ヨモギの花粉は11月くらいまで続くという
すべての画像を見る

ちなみに、2024年の秋花粉の飛散量は“平年並み”だったそう。猛暑の翌年の春は花粉量が増大するという噂もあるが、今夏の酷暑は秋花粉にも何か影響を及ぼしている?

「まず、猛暑の翌年の春に花粉量が増えるというのは、一部合っていますが、正確な表現ではありません。スギ花粉の花芽の最初の分裂は、6月の日射量が影響します。日射量が多いとその分多くの花芽が作られ、それが7~8月で育つ。

さらにいえば、スギ花粉は一年間花粉を花芽につけると、その枝は翌年休みます。気象条件だけではなく、そういった樹の勢いを見ないと、翌年の飛散量を正しくは予想できないと言えます。

なお、今年の東日本の春花粉は平年並みか少し多かったので、来年はお休みするスギも多いかもしれません。少なくとも東日本においては、史上最高の大量飛散ということにはならない可能性が高い。

そして秋花粉についてですが、気象条件によってブタクサの花粉量が変わっているのを見たことがありません。だから、夏の暑さはあまり秋花粉に関係しないと思います。一年間の花粉の動きが気になる方は、東京都保健医療局が出している『東京都の花粉情報』というサイトを参考にしてみてください」

もうすぐピークは終わりを迎える秋花粉だが、今年セーフだった人も、来年の秋に発症する可能性は十分にある。早めに花粉情報をチェックして、次のシーズンに備えよう。

プロフィール
永倉仁史(ながくら・ひとし)
ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長。アレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患を専門とし、花粉症に関してはNPO花粉情報協会の理事を務める。

取材・文/渡辺ありさ