秋花粉は、草むらに近付かなければ安全
一説によると、日本人の約2割が陽性だという秋のブタクサ花粉。なにか対策方法はあるのか。
「スギ花粉とは異なり、ブタクサ花粉は飛んでも数メートルから数百メートルほど。スギ花粉のように、どこにいても症状が出てしまうというわけではありません。
ブタクサは公園や空き地、河原など雑草の多いところに生えているので、草むらがあるような場所に近付かなければ避けられるでしょう。
そういう場所をどうしても通る場合は、マスクの着用によって花粉の吸いこみを抑えることができます。
ちなみに、ヨモギはブタクサと同じく土のあるところに生えており、カナムグラはつる植物なのでガードレールや金網などに絡まっていたりします」
逆に、雑草が生えていないような場所でアレルギー症状が出る場合は、秋花粉ではなく“ダニアレルギー”の可能性があるという。
「ダニは25~30度で育ち、その温度以下になると死骸になって飛び散ります。そのため、毎年10月くらいになると、気温の低下で夏までに繁殖したダニが死んで空中に死骸が飛び散るため、ダニアレルギーの症状が出る人も多くなるようです。
いずれの場合も、まずはアレルギー血液検査を受けてみることをおすすめします」
点鼻薬の使用はNG! 鼻づまりが悪化する恐れも
また、症状が軽めの秋花粉は、市販の抗アレルギー薬でもある程度対処ができるようだ。
「市販薬の『アレグラ』や『アレジオン』は、病院で処方される抗アレルギー薬と有効成分が近いと言えます。市販薬で症状が治まるのであれば、市販薬を服用しても問題ないでしょう。眠気が出にくいので、日常的にも使いやすいですね。目の症状が強い場合は、抗アレルギー点眼薬を併用するのがいいと思います」
ただし、市販の点鼻薬の使用には“待った”をかける永倉氏。
「市販の点鼻薬には、血管収縮剤を含んでいるものが多く存在します。血管収縮剤は、血管をギュッと縮ませて鼻の粘膜の腫れを抑えるので、一時的には鼻の通りがよくなったように感じます。最初のうちは半日くらい効くのですが、しばらくするとまた鼻がつまってくる。
そうして何度も使用しているうちに、だんだんと効き目の持続時間が短くなり、かえって鼻の粘膜が腫れ、鼻づまりがひどくなってしまうのです。
血管収縮剤は、そういったリバウンドを起こしやすく、このような状態を『点鼻薬性鼻炎』といいます」
いずれにしても、花粉によるアレルギー症状が強いと感じる場合は、市販薬に頼り過ぎず病院に行くべきだと話す。
「薬の特許が切れたものから市販できるようになるため、市販薬はやや古いものが多いと言えます。症状が強い人は、耳鼻科に行ったほうがたしかな薬を処方してもらえるでしょう。
また、ブタクサは飛散量が少ないからあまりないとは思いますが、もし皮膚がかゆくなるなど、花粉皮膚炎と疑われる症状が出る場合はアレルギー専門医に診てもらったほうがいいですね」