日本が外国人から旅行先に選ばれる最大の理由…「ビッグマックがたった480円」欧州最貧国グループのルーマニアよりもマクドナルドが安く食べられる日本の現状
コロナ禍の落ち着きとともに訪日外国人観光客が戻りつつあり、2024年上半期の入国者数は過去最高となった。彼らは何を求めて日本を訪れるのだろうか。そして、こうした状況は今後も続くのか。
『観光消滅-観光立国の実像と虚像』(中央公論新社)より一部抜粋・再構成してお届けする。
観光消滅#1
日本の100円ショップはオーストラリアでは300円
2024年3月にオーストラリアを訪れたとき、実際にマクドナルドの店頭を覗いてみた。第2の都市メルボルンの中心街にある店舗では、ビッグマック単品が12.85豪ドルという表示であった。
この時の豪日の為替レートが、1豪ドル97~98円だったので、日本円でおよそ1285円ということになる。
帰国して早速近所のマクドナルドに出かけて価格を確かめてみると480円(税込み)であった。オーストラリアのビッグマックは、円安の状況でおよそ2.7倍。ビッグマック指数のデータでは、オーストラリア770円、日本450円となっているので1.71倍。実際には、データよりもさらに大きな物価の差が生じているのである。
すべての画像を見る
メルボルンでは「DAISO JAPAN」という店にも足を運んだ。そう、100円ショップの代表格のダイソーである。ここでは基本(最低)価格が3豪ドルであった。約300円である。やはり3倍近い価格差があるようだ。この感覚でオーストラリア人が日本に来たらさぞかし安く感じるであろう。
文/佐滝剛弘
『観光消滅-観光立国の実像と虚像』(中央公論新社)
佐滝剛弘
2024年9月6日
990円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4121508218
東京、京都、ニセコ……訪日観光客の増加によるオーバーツーリズムの弊害が日本各地で問題となっている今、日本政府が目指した「観光立国」とは一体何だったのか、検証すべき時期に来ている。人口減による人手不足や公共交通の減便といった問題をはじめ、物価の高騰、メディアの過剰報道など、観光を取り巻く環境は楽観を許さない。観光学の第一人者が豊富な事例をもとに、改めて観光の意義と、ありうべき日本の観光の未来を問い直す。