フネの波平への揺るぎなき想い
—それも友保さんが唱える「伊佐坂家、車のレストアで食ってる」説。
友保 この前甚六が久々にビートル出してくれたんですよ。やっぱ軽やかなもんですよ。新車の感じでビートル乗ってました。でもやっぱ俺はほんまにタイコっすかね。火遊びでもほんちゃんでもタイコ。
—タイコかフネですか。
友保 フネはガチ恋じゃないとちょっとムズいです。こっそり強火なんで、フネは。あれは適当に遊ぶと揉めるタイプで。
小林 青い炎や。
友保 しっかり行かなあかん。見ましたか。波平がこの前カツラ被ってたやつ。若者にならなあかんっていう。
—なんですか「若者にならなあかん」って。
友保 波平が若く見られたいと。最後のオチでヅラ被って家帰って。「あれ、すいません、うちの旦那帰ってません」みたいな風に言われて。「いやいや、わしや」みたいな。
小林 (笑)。
友保 そのヅラもね、変やった。リーゼントみたい。で、「お父さんがヅラなんて〜」みたいなんで、ちょっと家が揉めまくる。で、最後の最後のワンショットが波平がヅラ被って、吉住の宣材写真みたいなポーズする。
小林 吉住の宣材めっちゃいいよな。R-1のときセンター取ってた。
友保 波平が「みんなのおじいちゃん」って言われて、 うわって落ち込んで、若者の格好しようと若いやつの服屋に入っても「お孫さんのですか」って言われて、凹んで。で、バカガキ3人と散歩に行くんすよ。で、木を見て、この木は樹齢何年だみたいになって。で、気づく。この木に比べたら俺なんかまだまだ若者やっていう。
全然まだまだやな言うて、カツオが……あいつも1個乱したいやつやから、「お父さん、まだまだ生きてよ。父さんまだまだ生きて、もっと『バカもん』って言わすよ!」みたいに言ったら「……バカもん」。
—絞り出すように……(涙)。
友保 ちっちゃく優しく「バカもん」。いい回でしたよ、ほっこり回かい!
—いいオチじゃないですか。
友保 そこで終わったらよかったんですけど、その後ヅラ被ってるから。ヅラ被って吉住で終わってるから(笑)。でも、やっぱフネがそこで怒ったんが、俺はいいなって。フネは波平のあるがままを愛してたんだなって。
—若い波平が好きなわけではない。
友保 波平が好きやから、どうなろうが好きっていう。あそこすごい胸打たれました。
小林 ジジイでいい、波平が好き。
—やっぱりいい女ですね、フネは……。
取材・文/西澤千央 撮影/高木陽春