「夏のTUBE」という仮想敵国と戦った
――TUBEの夏の歌にたくさんの人が背中を押されてきたと思うのですが、TUBEといえば夏というイメージに疑問や反感を抱いたことはなかったのでしょうか?
前田亘輝(以下同) しょっちゅうありましたよ。抵抗もしましたね。『シーズン・イン・ザ・サン』から始まって、『あー夏休み』で夏のイメージが決定づけられたとき、雑誌の取材なんかで「(季節の)果物として八百屋でも売ったほうがいいんじゃないか」とか言われたりして。シャレだったんだろうけど、自分たちも若かったから「なんて音楽を冒涜したライターなんだ」ってイラッとしたりなんかして(笑)。
「俺たちはミュージャンなんだ」ってことを証明しようって、秋冬にビーチシーズンと関係ない曲を作ったり、秋冬だけ50本ちかくツアーをやったり、アルバムを出したりもしましたよ。自分たちという仮想敵国を作って、「夏のTUBEに負けたくない」という思いで戦って。それが励みにもなってたんだと思うんですけどね。
――その戦いの結果、出た答えはあったんですか?
あるとき、自分が求められてるものや、やりたいことを認めさせるのは「エゴだな」っていうことに気づいたんですよね。それが30代後半ぐらい。とにかく人を楽しませれば自分たちも楽しいはずだって。
だから30~35歳ぐらいのときが一番、解散の危機にいたんじゃないかな。でも、「学級委員になりたい」って毎年言ってても、選ばれなかったらしょうがないときもあるじゃん? 思いだけじゃ伝わらないんだよね。だいぶ遅かったね、大人になるのが(笑)。