女性誌の販売部数日本一! 高齢者を知り抜く『ハルメク』独自のデジタル知見とは? 登録フォームには余計な任意項目を設けないことが鉄則
書店では購入できない定期購読のみの月刊誌ながら女性誌としては日本一の発行部数を誇る『ハルメク』。
書籍『「シニア」でくくるな! “壁”は年齢ではなくデジタル』の一部を抜粋・再構成し、徹底的な調査により、どんな企業よりも高齢者を知り抜く『ハルメク』独自の知見を明らかにする。
「シニア」でくくるな! “壁”は年齢ではなくデジタル #4
高齢者はスクロールが得意
得意な操作もある。その一つが画面のスクロールだ。PC、スマホのいずれでもスムーズに操作でき、そのページがどんなに縦長でも、どんどん下へ下へとスクロールし、最後まで見てくれる。
逆に、1つのページをより短くして、クリック(タップ)することによってページが遷移する仕組みは苦手だ。ページが次から次へと遷移すると、迷子になってしまったとネガティブな感情を抱き、離脱してしまう可能性が高まる。
こうした行動から導き出される対策は、情報量が少ないページを複数用意するのではなく、情報量が多くても1ページに集約することだ。極力ページを遷移させずにコンバージョン(サービスの利用開始)まで完了する導線設計を行うとよい。
そして、入力が苦手にもかかわらず、登録フォームはすべての項目を埋めがちな傾向も見られる。一般的に登録フォームは、任意項目と必須項目が混在している場合が多い。それらに対し、高齢者は全部入力しなければならないと考えてしまい、任意項目までも何とか埋めようとする。
すると、入力回数が多くなる分、ミスも発生する。登録ボタンや送信ボタンをいくら押しても、間違いがあるために次の画面で入力エラーの表示が続き、途中で登録を諦めてしまうのが往々にしてあるパターンだ。
したがって、高齢者向けの商品やサービスの登録や申し込みフォームでは、余計な任意項目を設けないことが鉄則となる。全角や半角の自動変換機能によって、そのどちらで入力しても表記が統一され、エラーを発生しにくくする工夫も必要だろう。入力後、その場ですぐに誤りが分かるような表示も、入力ミスが多い高齢者の手助けになる。
写真/shutterstock
「シニア」でくくるな! “壁”は年齢ではなくデジタル(日経BP)
原田曜平
2024年6月28日
1,980円(税込)
304ページ
ISBN: 978-4296205363
日本の若者研究の第一人者であるマーケティングアナリストがシニアを独自調査健康・お金・人間関係の悩みなど……リアルなシニアの実態が浮き彫りに! これから"黄金期"を迎えるシニアマーケティングの新常識が学べる1冊
この本は「シニア世代のマーケティング」について書かれた書籍です。
現在、日本で最大のボリュームを誇る「団塊の世代(1947~49年に生まれた人々)」が全員75歳以上の後期高齢者になることによって起こる「2025年問題」が、高齢化社会に直面した日本において、シニアのみならず幅広世代に重くのしかかろうとしています。
本書ではその問題を負の側面ではなく、消費という観点で捉え直しました。著者の原田氏はこれまで培った世代分析の手法を駆使し、独自調査に基づいて現在のシニアの実態をあぶり出し、そこに「デジタル」という大きな"壁"があることを突き止めます。そこから、現代のシニアが本当に生き生きと暮らせる方法を導き出し、目前に控えた「史上最高・最大級の高齢者マーケット」の攻略法について様々な角度から提案します。
では、今回、独自調査で明らかになった現在のシニアはどんな人たちでしょうか。そして、原田氏が本書で強く訴える「デジタルの壁」は、シニアたちにどのような影響を与えているのでしょうか。
生活の実態では、高齢者が定期的に接する人数は、「PC保有者」が「全体平均」より約20%多くなることが分かりました。つまり、デジタル高齢者のほうが、人付き合いが多いという傾向がデータから読み取れます。他にも、シニアの消費の実態では、「1カ月当たりの可処分所得がある」と回答した高齢者は、「PC保有者」が「全体平均」より約20%多くなりました。
ここからも、デジタル高齢者は他のクラスターと比べて懐具合が良好で、優良な消費者であるといえるのです。
つまり、推計2222万人超いるとされる、パソコンやスマートフォンを使いこなす"デジタル高齢者"の方が、「健康」で、「お金に余裕があり」「人間関係も良好」であることが見えてきました。シニアはデジタル高齢者を目指し、企業は消費意欲が旺盛なデジタル高齢者に愛されることが、これからの時代は必要になってくるのです。本書は、こうしたシニアの真の姿を明らかにします。