通行人にツバを吐きかけられることも

本間さんを含めた界隈民たちは、通称「トー横ミドル」とも呼ばれており、夜8時ごろになると新宿大ガード下からトー横広場に移動して“宴会”を始めるという。ただ、前出の女性は「キッズもミドルも、そこまで明確にグループが分かれているわけではない」と話す。

「終電が近くなって人数が減ってきたら、みんなで一緒に飲んだりするし、最近は観光で来た外国人も飲みにきたりしますね。

それこそキッズがリストカットとかOD、急性アルコール中毒になったら大人が『水飲ませておけ』とか『早く止血しろ』とか助言したりもする。年齢とかは関係なく、この界隈の人たちはみんな助け合いの精神でやってますね」

夜も更けて盛り上がりが増すトー横
夜も更けて盛り上がりが増すトー横
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だが、周囲からの視線は冷ややかだ。記者が新宿大ガード下で取材をしている間にも、歩行者のなかには眉間にシワを寄せてこちらを見てくる男性や、鼻をつまむようにして通りすぎる女性の姿もあった。このような状況について本間さんはどう思っているのか。

「こんなの当たり前のようにあることだし、さすがに慣れたよ。舌打ちされたりツバを吐かれるのは日常で、通報されることもある。なかには『真面目に働け!』とか怒鳴ってきたり、勝手に写真を撮ってくる連中までいるからね。

それと厄介なのが、売春をもちかけてくるオッサン。酒をもって近づいてきて、キッズとかに耳元で『2万円でドウ?』なんて話しかけてくる。もちろん界隈民はみんな断ってるし『そういうのは大久保公園でやれ』と注意してるよ」

そうしたトラブルに見舞われながらも、なぜ本間さんは路上生活を続けるのか。後編では、彼女の生い立ちとともに、行き場のない少年少女(トー横キッズ)たちへの想いを聞いた。

取材・文/神保英二