なぜ〝$20.00〞より〝20.00〞のほうが売れるのか?
お金との心理的距離について、さらに面白い実験を紹介しましょう。レストランで2通りのメニューを用意しました。
・Aには「○○○ $20.00」と各料理に「$+金額」を表示
・Bには「○○○ 20.00」と各料理に「金額のみ」を表示
違うのは「$」の表示があるかないかだけ。メニューのデザインや、料理の種類など、その他の条件はすべて同じです。
結果、Bのメニューを受け取ったお客さんのほうが大幅に消費額が増大しました。
「$」という表示がないことで、頭では金額とわかっていますが、「お金を払う」という行動が心理的に響かず、簡単にお金を使ってしまったのです。
日本でも外資系ホテルや高級レストランでは、「2000円」とせず「2000」というように、算用数字のみのメニューを置いているところがあります。
自分が売り手側で売上を伸ばしたいなら「2000」と数字のみの表示にし、買い手側で節約をしたいとき、もし「2000」という表示になっているメニューを見たら、慎重になったほうがいいでしょう。
また、アプリ決済やeコマースではポイント制度も盛んですが、ここにも透明性を下げる「キャッシュレス・エフェクト」という企業側の戦略があります。
例えば「いつでも返品OK」というサイトは、お金ではなくポイントで返金され、「ポイント=お金」という感覚が薄らぐので、貯まったポイントを気軽に使いがちです。
カジノやゲームセンターでは現金をコインに替えて遊ぶのも同じ理由で、お金を溶かす仕組みがあちこちに潜んでいるのです。
写真/shutterstock













