気がついたらイスの下に血だまりが…

事件の間接的なきっかけとなったのは、この1ヶ月ほど前、Aさんが出禁になった居酒屋に関川さんとふたりで訪れたときのことだった。

「僕が仲裁しようと思ってたんです。でも席についてお酒を注文したところで居酒屋のオーナーがAさんの存在に気づいて追い出されてしまったんです。

しかたなくうちに戻ってきたんですが、そのお店で会計をするのを忘れてたんで、Aさんに私の財布を渡してその居酒屋に支払いに行ってもらったんです」

すると難癖をつけに来たと勘違いしたオーナーが警察に通報。Aさんは警察署に連れていかれて翌日に釈放されるという顛末だったわけだが、12月7日にも「せきどん」にてこの話を振り返っていたという。そして事件は起きた。

「Aさんは『財布なんて預かってねえよ』と言うんです。そして、『かかってこい』と激高して、カウンターをバンと叩いて立ち上がったんです。

僕はまた『いくら強くても刺されたら終わりだぞ』と言ってなんとかなだめようとしたんですが、『俺はキックボクシングもムエタイもやってるからどんなことにも反応できるんだ!』と聞かなくて……」

事件の現場となってしまったお店のカウンター
事件の現場となってしまったお店のカウンター

同じく酔っぱらっていた関川さんはAさんの頭を引っぱたこうとキッチンからフロアに出ようとした。そこで目に入ったのが、事件の凶器となったペティナイフだった。

「しまい忘れた包丁をつい手に取ってしまって……。ただAさんを傷つけようとなんて一切してません。その場をしずめるためにAさんが着ていたフリースを引っ張って、体との隙間に刺したんです。『ほら、反応できなかっただろ』と言っておでこをペシッと叩いて、キッチンに戻りました。

しかし、4、5分後、Aさんが『痛いかも……』というので見てみると、Aさんが座っていたイスに50センチくらいの血だまりができていて。

Aさんは恰幅がいいし、当日は濃い茶色だか紫のフリースを着ていたので、刺したことにも血が出ていたことにも全然気づきませんでした……」