AV新法に異議申し立て。政治家も目指す吉川さん

吉川さんは現在AV女優として活躍するかたわら、ハラスメント撲滅などを掲げて政治家を目指して活動中だ。2023年4月23日には世田谷区議会議員選挙に政治家女子48党から出馬し、2023年7月には政治団体「自由次世代党」を設立。そして、現在は2024年6月に見直しのタイムリミットが迫る「AV出演被害防止・救済法(AV新法)」への改正デモに参加するなど、精力的である。

「私の1年目のギャラは、たったの40万円でした。AV新法のおかげで制作会社が潰れたり、制作本数を少なくしたりしたことで、新人女優の出演機会が少なくなっています。私もこのあおりを受け、仕事が入らない状態が続いています。このままでは私だけでなく、AV業界全体がなくなってしまう恐れがあります。だからこそ、現場の私たち女優が声を上げる必要があるのです」

吉川さんも声を上げた、3月16日に渋谷で行われたAV新法改正を求めるデモ
吉川さんも声を上げた、3月16日に渋谷で行われたAV新法改正を求めるデモ

AV新法では「契約してから1か月は撮影してはいけない」「すべての撮影の終了から4カ月は公表をしてはいけない」「出演者は契約に問題がない出演作であっても、映像の公開から1年間は(法律施行後2年は2年間)無条件で契約解除ができる」などの規定が設けられている。しかし、法律と制作現場の実態と合っていないことが問題となっており、業界存続の危機となっている。

「AV新法においては、現場の意見や実態に即した形での改正が必要だと主張しています。女優を守るための法律は確かに必要ですが、国がすべてをがんじがらめにするのでは、ただただ業界が廃れてしまうだけになります。

出演者が互いに話し合って、被害を最小限にする形で存続できるようにするなどして、『業界のトラブルは業界内で解決する』仕組みを整えることが重要だと、私は考えています」

AV女優として、そして政治家予備軍としてキャリアを築いている真っ最中の吉川さん。AV新法に異議を唱えていくとともに、今後は区議会議員への立候補を目指しての政治活動を続けて行く予定だ。元自衛官、元看護師、元風俗嬢、AV女優、政治家という数々の肩書きを持つ吉川さんは、今後どのような活躍を見せてくれるのだろうか。これからの動向に期待したい。

取材・文・写真/越前与