ニュージーランドでは2023年1月から禁止法案を施行も…

イギリスより一足早く、生涯タバコ購入禁止の法案を打ち出していたのが、ニュージーランドだ。今回のイギリスの法案とほぼ同じものが、2022年12月に可決され、2023年の年明けから施行された。

しかしこちらはなんと、わずか1年で法案が撤回されることになった。この間に起こった政権交代により、タバコ法案に限らず、アーダン前首相が施行していた施策の数々を、ラクソン首相が撤回しているのだ。ただ、ラクソン政権ではタバコを規制することに反対したわけではなく、販売禁止にすることで、闇市場が活発化してしまうと危惧されるための法案撤回だという。今回のイギリスでの法案に対しても、イギリス国内から「闇市場が作られる」という理由から反対の声があがっている。

東京・上野公園と喫煙所
東京・上野公園と喫煙所
すべての画像を見る

ニュージーランドではわずか1年で撤回となったが、イギリスではどうなってしまうのか。イギリスで一定の効果が見込まれれば、これに続く国が出てくるのは確実だろう。日本では、JTの関係者が「どうすればいいのか…」と頭を悩ましている。

「JTはイギリスで45.1%のタバコ事業シェア率(2022年度)を誇っていました。売上に関しては日本ほどではありませんが、シェア率に関しては日本の42.4%よりも高かったので、なかなか厳しいことになりそうです。ただ、法案が施行されるまではまだ時間がありますし、ニュージーランドで撤回された例もあるため、今はまだ様子見といったところですね」(JT関係者)

日本でも、3月16日から東海道、山陽、九州新幹線の車内から喫煙ルームが撤廃されるなど、タバコ規制の動きが強まっている。喫煙者にとっては、これからも厳しい戦いが続きそうだ。

取材・文・撮影/集英社オンライン編集部