「一番多いのがトイレのドアの破損」

「BADBOYS」は大学非公認のサークルで、そのメンバーたちが狼藉を働いた現場は富山県砺波市内にある老舗旅館だ。彼らが冒頭で述べたような常識はずれの動画を公開したのは3月18日のこと。

一部報道によれば旅館側は「現在、相手型と弁済について協議中のため、被害の詳細についてはお答えできない」としているが、度を超えた蛮行で迷惑をかけたのは紛れもない事実。

神戸大学当局は翌19日、教育担当理事名で「このたび、本学学生による不適切行為がSNS上に掲載されており、関係者の皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。詳細につきましては現在、学内で調査中であり、調査結果により大学として厳重に対処いたします」とコメントを発表した。

神戸大学が発表したコメント
神戸大学が発表したコメント
すべての画像を見る

そうはいっても酒を覚えたての学生が泥酔した挙句、さまざまな不始末をしでかすということ自体は珍しいことでも、もちろん神戸大に限ったことでもない。山梨県山中湖村で30年営業を続ける、スポーツ施設や宴会場が併設された旅館の主人はこう語る。

「今回の件は明らかに故意的だし『ちょっとやりすぎだろ...』とは思いますけど、団体の合宿を生業にしている以上、ウチでも同じようなトラブルは起きています。布団や畳にゲロをまき散らす子もいるし、一番多いのがトイレのドアの破損ですかね。

酔っ払ってトイレに籠ると、閉じ込められたと勘違いしてドアを強く引っ張ってしまう子が多いんですよ。それで取手部分が外れて、弁償してもらうケースは少なくないですね。とはいえ夏休みと春休みは大学生のサークル合宿をメインに受け入れていますので、翌日にちゃんと事実を認めて謝って弁済してくれたら大丈夫ですし、大学側にも報告することはありません。

しかし、事実を認めなかったり、とぼけてくるサークルに対しては、どうせ次もやるだろうから『もう来てもらわなくても結構です』と出入り禁止の対処をしています」

天井に“刺さる”「BADBOYS」の学生(流出した「X」より)
天井に“刺さる”「BADBOYS」の学生(流出した「X」より)

嘘つきは泥棒の始まり。正直な学生には伸びしろがあると大人も心得ているようだ。主人は続けた。

「たしかにコロナ明けになってから、リスクヘッジができていないサークルが増えたなという印象はあります。というのも、コロナ前までは、いわゆる『飲みサー』と呼ばれるサークルには、伝統的にルールが定められていました。

例えば、お酒で潰れた子を誰が介抱するとか、サークル外に迷惑をかけるヤツがいないか見て回る監視役がいたり、ハメを外しすぎないようフォローするシステムがあったんです。

ところが今のサークルは、コロナの3年間で活動できなかったからか上級生から飲み会のルールや伝統を教えてもらったこともないし、飲み会の場数を踏んでいる子が圧倒的に少ない。実際にウチでも、コロナ明けになると、そこまで緊急事態じゃないのに宿側に連絡もせずに救急車を呼んでしまったり、誰にも介抱されずに廊下で倒れている子も見たことがあります。

今回の神戸大学の件も、フォローする学生が一人もいなかったせいで、あそこまでの迷惑行為に発展し、さらにそれをSNSにアップするという行動を取ってしまったのではないでしょうか」