「高学歴ゆえの繊細さ」とどう向き合うべきか

ここまでの話を踏まえると、考えておかなければならないのは、

「高学歴は怒られ慣れていない場合が多く、慣れるまでは自分の過失を認めなかったり、こちらに対して攻撃的になったりしてしまう場合がある」

ということです。もちろんどれくらいの人に当てはまるかはわかりませんし、学歴だけが関係する話ではないとは思うのですが、しかし僕の所感を言えば、「高学歴は怒られ慣れていない」という特徴があると、自信を持って言えます。

上司から怒られているイメージ 写真/Shutterstock.
上司から怒られているイメージ 写真/Shutterstock.
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その上で、高学歴と一緒に仕事をする側ができることは何なのでしょうか?

僕が考えるに、

・「高学歴に何か指摘をする際には、『バッド』ではなく『ベター』を伝えること」
・「高学歴に対しては、指摘した後に落ち込んでいないかを特に念入りに確認すること」

この2点です。

まず、「『バッド』ではなく『ベター』」というのは、簡単な言い方の問題です。

「ここがダメだったね」「ここはよくないね」という言い方でダメ出ししてしまうと、高学歴の人は「ダメだったんだ……」と、普通の人よりも過度に、否定されたような気分になる場合があります。

ですから、「ここ、もっとこうすればよりよいものになると思うよ」「ここの部分だけ、こうしてほしいな。それ以外は大丈夫」というように、同じダメ出しでも「よりよくするために」という言い方をするのです。

「テストでは100点満点を取りたい」と考えている高学歴に、「あなたのテストは100点じゃなかったよ」と言ってしまうと、たとえそれが99点であってもストレスを感じます。それよりも、「100点満点だけど、120点にする回答はこうだよ」と言ってあげた方が、心地よく話を受け止められる場合が多いんです。

ですから、「よりよくするために」という語り口を、ぜひ心がけてあげてください。


文/西岡壱誠

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高学歴のトリセツ 褒め方・伸ばし方・正しい使い方
西岡壱誠
高学歴のトリセツ 褒め方・伸ばし方・正しい使い方
‎2024/3/21
1,375円(税込)
192ページ
ISBN: 978-4065351833
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