Q.「どっちを選べばいいか教えてくれる本」ってありますか? 人生に迷っているから、あれば読みたいです。(小6・女子)

コロナが消える本、迷ったときの本…こんな本あるかしら? 実在の「あるかしら書店」に子どもたちが聞いてみた_d
『ぼくのまつり縫い』(神戸遥真/作、井田千秋/絵・偕成社)

「小学生だった自分を思いかえすとノーテンキ男子だったし、それは今もたいして変わっていないので、小6にして今後の人生に迷うほど真剣に自分と向き合っているあなたはとてもえらい。えらすぎて疲れないか心配になる。

たぶん学校や塾で勉強もがんばっているんでしょう。

もういろいろ面倒だから、“全部本に正しい選択の答えがのってたら楽チンなのに”と考えるのもしょうがないですね。

残念ながら、解答がのっている勉強の問題集とは違って、じつは本を読むとあなたの人生の“正解がない選択肢”がまた増えるだけなんです。

でも同時に、本は自分がなにが好きか、どんなことに心踊るかを気づかせてくれます。

物語のどれでも、お気に入りのキャラクターやシーンがあれば、その人物がどういう感情で行動(選択)しているか、彼(彼女)になりきってその感情を体感してみましょう。あなたの「好き」はきっとそこにあります。それを基準にあなたの人生を選んでみてください。

『ぼくのまつり縫い』の主人公・針宮優人くんは、実はお裁縫やかわいいものが好きな中学生の男の子。あるとき、サッカー部の練習中にグラウンドで転んでケガをして部活を休んでいた針宮くんは、クラスメイトに半ば無理やり被服部の助っ人にされてしまいます。

本当は手芸が好きなのに、周囲の目が気になってそのことを隠していた主人公が、自分の手で「好き」をつかみとり一歩踏み出します。

興味があったら読んでみてね。そして本をいっぱい読んで好みの選択肢を増やし、自分で好きなものを選んでいく楽しさを知ってほしいです。

本屋やスーパーで本とかお菓子がたくさん並んだ売り場のまえに立ったらちょっとワクワクするでしょ? 正しい選択なんてないし、遠慮なくどれでも好きなのを手にとったらいいですよ」(中藤さん)