そもそもレイオフって何? リストラとの違いは?

まず知っておきたいのは、アメリカにおけるレイオフの仕組みについてだ。

「アメリカの雇用の根底には『Employment-at-will』といって、雇用は雇用主と被雇用者との双方の自由意志によって成り立っているという考え方が存在します。よって、雇用主が従業員を解雇する際は、人種差別や性差別といったモラルに反するような理由でない限り、理由を問わず自由に解雇できる仕組みなのです。従業員もまた同じように予告や説明なしに仕事を辞めることが可能です。

今回話題になったGoogleのレイオフも突然解雇通知されたとのことで、日本とは真逆の価値観に驚く人も多く、こうして話題になったのでしょうが、アメリカでは割と普通のことなのです。

ちなみにレイオフは『一時帰休』とも訳されますが、あくまで一時的な解雇で再雇用の意思があるという姿勢を見せておくことで、労働者からの訴訟を避ける目的があると思われます。訴訟でもし企業が負けた場合には、多額の賠償金を支払う必要があるため、そうしたリスクは避けたいという意図がレイオフする理由のひとつとも考えられます」(以下、「」内は倉重氏のコメント)

Google社員、有給中の突然「レイオフ(一時解雇)」に唖然…終身雇用が崩壊しつつある日本でも普及しかねないレイオフに備えるためには_2

そのほかにも、「一時的な解雇」にしておくことで優秀な人材の流出を抑制できることや、その人材が蓄積してきたノウハウなどの企業資産が損なわれないようにするといったことが、企業側のメリットとしてよく挙げらている。

日本とアメリカではそもそも雇用に対する基本的な考え方がまったく違うということだが、日本における解雇の特徴についても聞いてみた。

「日本ではいきなり解雇を通知するのではなく、社員への退職を段階的に促すことが多いです。一段階目が社内で退職者を募る『希望退職募集』、二段階目が社員を呼び出して退職を促す『退職勧奨』、それでも人員削減が追いつかない場合の最終段階として、はじめて一方的に解雇を通知する『整理解雇』が行われます。これらは一般的にリストラとも呼ばれています」