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何年後かにまた読み返したくなる作品は“純愛”

――「令和に刺さる“ピュア婚”」と言われる本作ですが、この評価についてどのような感想を抱かれていますか?

コマkoma(以下同) 率直に、とてもうれしいです。以前、電子漫画のお仕事をさせていただいたときに、周りの作品が“略奪”とか“夫を殺す”とかそういうのが多くて……。その中で私はきみねさんという方の小説をコミカライズして比較的ピュアな作品を描いていたのですが、コメントでは思いのほか肯定的な意見をたくさんいただきました。

それで「どうして最近、純愛ものが減っちゃったんだろう?」と思ったんです。もちろん刺激的な作品もおもしろいのですが、やっぱり私は、何年後かにまた読み返したくなるような作品を描きたいんです。ひかわきょうこ先生の『彼方から』とか、どこへ引越しても私が絶対に持っていきたいと思う作品は、純愛を貫く物語なんですよね。

――本作を描かれる上で、影響を受けた出来事や作品などはありますか?

私はもともと、石川県の伝統工芸品の制作に10代から20代後半まで関わっていました。当時から和を感じる本やお城などが好きだったので、そういうのが素地としてあるのかもしれません。

イラストをSNSにアップするようになったのは8年ほど前からで、漫画的なものを描き始めたのはここ2~3年くらい。同人誌という形で本を出したのも本作が初めてでした。絵に関してはすべて独学で、コマ割りの勉強をしていないこともあり『軍人婿さんと大根嫁さん』は全編4コマ漫画なんです(笑)。でも、単行本を出させていただいた芳文社は4コマ漫画の媒体だし、できれば今後もこの体裁を崩したくないですね。個人的には、4コマのほうがイメージも浮かびやすくて。

――単行本1巻の中でお気に入りのエピソードを教えてください。

花ちゃんのお父さんと誉さんが対話するエピソードがお気に入りですね。お父さんやおばあちゃんなど、誉さんと花ちゃんの関係を見守る人々に焦点を当てたお話が描けたのはすごくよかったです。脇を固めるキャラクターたちが立っていると、物語として深みが出ると思っています。

《漫画あり》「何年経っても引っ越しても持っていきたい作品は純愛もの」田舎娘と軍人の“ピュア婚”が令和女子に刺さるワケ_1
©コマkoma/芳文社
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――誉さんと花ちゃんの今後について、可能な範囲で教えていただけますか。

3巻の最初のほうに、花ちゃんが山から都会に降りてくるエピソードを入れようと考えています。また、こんなにほのぼのとした漫画なのに、どこか仄暗い雰囲気が漂っているのは、誉さんが軍人でそこに戦争体験があるからなんですよね。シリアスすぎるお話にはしたくない一方で、戦争をエッセンスとしてだけ使うようなこともしたくなくて。史実も入れ込みながら、自分なりにこのテーマとしっかり向き合っていきたいと考えています。

――では、コマkomaさん、ご自身の今後の展望についても教えてください。

現在、Xで『スーパーひまわり』という現代ものの作品を描いています。最近、ようやく主人公の二人がくっつき始めたので、その同人誌を今年中に出すことが目標ですね。プライベートでは、娘と息子を18歳まで育て上げたいという思いがあります(笑)。「お母さん、明日締切でしょ?」と言って、家事などを積極的にやってくれるので助かっています。不規則な生活をおくる、漫画家の母親を反面教師にしているんですかね(笑)。