スポーツ報道では異例の「重要ニュース」
北朝鮮ではサッカーは超人気スポーツで、欧州プロリーグの試合が国営朝鮮中央テレビでよく放映されている。西側のプロチームに近い「体育団」同士が競い合い、その中から優秀な選手が国家代表に選ばれる。
「北朝鮮は子どもを得意分野に特化させる教育を進めていて、スポーツの分野も例外ではない。将来有望だとみなされた子が体育団に入るため、庶民の家庭から出てきた選手も多い」(北朝鮮関係者)
朝鮮総連機関紙、朝鮮新報が「エース」「チームのまとめ役」と紹介するFWのスン・ヒャンシム選手(24)=平壌体育団所属=はコロナ禍前の2017年のアジアサッカー連盟(AFC)のU19選手権で最優秀選手賞と得点王の2冠に輝いている。金正恩朝鮮労働党総書記はスポーツ振興に力を入れると再三強調しており、アジアの強豪の一角を占めるサッカーには国全体が大きな期待をかけている。
26日には国営朝鮮中央通信が、第1戦がドローに終わり、28日に日本で第2戦が行われることを伝えたが、スポーツ報道では異例の「重要ニュース」として扱った。
サウジアラビアから移動してきた北朝鮮チームが25日深夜、羽田空港に到着すると、集まった在日朝鮮人約200人が熱烈に歓迎し、朝鮮総連トップの許宗萬議長が直々に出迎えた。もし五輪出場を決めれば、コロナ禍を脱した後の北朝鮮スポーツ界では最大級の慶事で、本国と在日朝鮮人コミュニティがお祭り騒ぎになることは必至だ。
「コロナで国際大会出場を見送っていた北朝鮮が約5年ぶりに選手を派遣した杭州アジア大会では、メダルを獲得した体操や重量挙げの選手らに帰国後、盛大な祝賀会が開かれました。国内メディアでも大きく報じられ、国家の英雄的な扱いを受けています。女子サッカーが五輪出場を決め、さらに好成績を残せばそれ以上の待遇になるでしょう」(北朝鮮ウォッチャー)