グループサウンズ(GS)ブームと沈静化
1966年の秋に発売された『夕陽が泣いている』は、スパイダースがヨーロッパで発売されたアルバム『サッド・サンセット』のプロモーションで、3週間ほどヨーロッパ・ツアーに出かけている間に日本でヒットし始めていた。
ヨーロッパから帰国したメンバーたちはヒットに気をよくしつつも、6月のビートルズ来日公演が及ぼした影響によって、歌って演奏するバンドが一斉に誕生してきたことに驚かされる。
ビートルズを体験した直後に加瀬邦彦が結成したザ・ワイルドワンズを筆頭に、以前はブルー・コメッツとスパイダースしかいなかったヴォーカル・インストゥルメンタル・グループが、あっという間に増えていたのだ。
そしてワイルドワンズのデビュー曲『想い出の渚』が11月から大ヒットし、年が明けた2月にはタイガースが『僕のマリー』でデビューして、グループサウンズ(GS)の時代がやって来る。
それに続けとばかりにカーナビーツ、ジャガーズ、ゴールデン・カップス、テンプターズ、ビーバーズ、491、アウトキャスト、リンド&リンダーズ、ヴィレッジ・シンガーズ、モップス、ダイナマイツ、オックスなど、その数300ともいわれるGSのブームが巻き起こった。
しかし1967年から68年にかけて大きな盛り上がりをみせたGSブームは、過剰なまでの競争と商業主義の常で、ヒットを狙った曲が量産されたためにマンネリ化し、1969年に入ると波が引いたように退潮してバンドの解散が相次いだ。
すっかりGSブームが沈静化してしまった1970年。かまやつひろしはユニークなソロ・アルバムを制作する。