インボイス制度で何が変わる?
さて、今年はインボイス制度導入後、初めての確定申告となる。この制度が導入され、“売れっ子”キャバクラ嬢の概念が変わった。
これまで売れっ子と呼ばれるキャバクラ嬢と、そうでないキャバクラ嬢とを税金面でわけていた境界線は「売上1000万円」だった。売上が1000万円を超えると、「消費税課税事業者」となり、消費税を納税しなければいけなかったからだ。
逆に売上が1000万円以下の場合、消費税の納税が免除されていたが、インボイス制度が導入されてからは違う。インボイス発行事業者に登録すると、売上に関係なく消費税を納めなくてはいけなくなった。これを機に、税金面で売れっ子の明確な線引きがなくなったと言える。
そして、インボイス制度導入後、経費に関しても“ある変化”が生じている。
前述のとおり、キャバクラ嬢は美容院代やヘアメイク代を経費として計上できるのだが、このあたりは美しさを原資とするキャバクラ嬢にとって必要不可欠である、と税務署も判断してくれる。
ただし、インボイス制度導入後は、美容院やヘアメイクなどのサービス提供者側もインボイス発行事業者であることが通常、要求される。一方、免税事業者からのサービスの場合、経費計上は可能でも仕入税額控除ができない。つまり、所得税法上の経費にはなるが、消費税法上の経費にはならないのだ。
税込1万円未満の課税仕入れに関しては、少額特例によってインボイス未登録でも帳簿保存で仕入税額控除が認められる。つまり、税込1万円以上の支払いの場合は、相手がインボイス登録事業者であることが、自分の消費税の負担を減らすための条件になるのだ。
取材・文/丸山ゴンザレス 取材協力/税理士法人松本