「首相としての自分の最悪の過ち」
この大ばか者。この幼稚で、愚かで、無責任なとんま野郎。どんなに激しい言葉であろうと、自分のばかさ加減を言い表すにはまったく足りない。とにかく、自分の愚かさに震えるばかりだ。
トニー・ブレアは、自身の回顧録にそう書き綴った。情報公開法(FOI)を成立させたという、あの「首相としての自分の最悪の過ち」を振り返りながら。
この法律は、「政府の透明性をよりいっそう高める」というブレアの公約を実現する手段の一つとして、2000年に制定された。それによって、国民は10万以上の公的機関に対して、ほぼどんなデータについても開示請求できるようになった。
請求を受けた機関は、「データを取り出すのに費用がかかりすぎる場合」「個人のプライバシーの侵害や、国家機密の漏洩に当たる場合」といった、かなり多い適用除外項目のどれかに当てはまるデータ以外は開示しなければならない。
成立当時、ブレアは同法を「政府と国民との新たな関係を築くもの」と褒めちぎっていた。いったい何が、彼の考えをあれほど劇的に変えてしまったのだろうか。
ひと言でいえば、ジャーナリストたちだ。ブレアの言葉を借りると、情報公開法とは「棒で叩きにきた人に、木槌を渡してあげるようなもの」だったのだ。