美容整形は経費になるのか?

キャバクラ嬢は個人事業者であることが多いので、当然ながら経費は発生する。経費として認められる代表的なものを以下にまとめてみた。

衣装代……キャバクラでの勤務に必要なドレスやアクセサリーなどの衣装代
美容関連費……ヘアスタイル、ネイル、メイクアップなどの美容費用
交通費……タクシーなど仕事への通勤にかかる交通費
携帯電話代……顧客との連絡に使用する携帯電話の料金
名刺代……顧客へ渡すためだけに使う営業用アイテム
接待費……顧客を接待するための飲食代
教育費・研究費……コミュニケーションスキルや接客技術を学ぶためのセミナー、講習会の受講料

「キャバクラ嬢という職業は、売上を上げるためには外見や仕草、接客コミュニケーションスキルへの投資が必要である」ということが合理的に判断されていることがわかる。

美容関連費が経費として計上できるのもキャバクラ嬢ならではだが、彼女たちの中には美容整形によって美しさを手にする女性も数多くいる。果たして、美容整形は経費になるのだろうか?

ルッキズムが叫ばれる世の中ではあるが、キャバクラではいまだに美人であれば指名が増えて人気も出る。そんな彼女たちが美容整形をするのは、必要経費に当たるのでは?

実際、数人のキャバクラ嬢に話を聞いてみると、「整形してきたんですよ」「W先生?」「当然ですよ」と、病院ではなく執刀医の名前を挙げて整形談義に花を咲かせるほど、実にあっけらかんとしていた。

そうなってくるとやはり経費として認められそうな気もするが、現実は、美容整形が経費として認められる可能性は極めて低いという。裁判で美容整形の経費性を争った事例もあるが、キャバクラ嬢の主張は通らず、美容整形は経費として認められなかった。税理士法人松本の見解は以下の通りだ。

「美容整形の効果がキャバクラ嬢という職業に留まらないからです。女性が美しくありたいのは当然ですが、『事業を辞めたとしても、美容整形した顔を元に戻すわけではない』と税務署が指摘し、キャバクラ嬢の美容整形費用に合理性はないと判断したケースがあるのです」