20歳のころは自分を欠陥のないものとして見せたかった

――20歳のころは、どういう動機で音楽を作っていたのでしょうか。

19やソロの初期、中期は、内向的でしたね。自分の心模様をどう言葉にするのかということに気持ちが向いていて。恥をかくのが嫌で、身なりも含めて、自分をなるべく欠陥のないものとして形作っていくことに、ずいぶん時間をかけていた気がします。

30代、40代とそのまま行ってしまう人もたくさんいると思うんですけど、それじゃダメだと、音楽が教えてくれたんですよね。

僕はメジャーで活動して、インディーズに移って、今は個人で活動していますけど、音楽としては縮小していっていると感じる人もいると思うんです。

でも、ツアーをまわっていろいろな街に行って、人に会ったり、よくしてくれる仲間も増える中で、それは間違ってると気が付いて。音楽という本質さえブレずに持って生きていれば、何も恥ずかしいことはないんですよね。

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――20歳のころと今とで、音楽への向き合い方は変わりましたか?

若いころは、音楽のことも今ほど知らなくて。コードの作り方も頑固で、若さゆえの固執がありましたね。今は、曲がどんどん変わっていくことにおもしろみを感じるし、柔軟性が増したと思います。僕自身、あのころからアップデートできてると思えているので、それも幸せなことですね。

それに、僕のライブに来てくれる人たちって、どこか寂しい思いを持っていらっしゃる方が多くて。そういう人たちの心を満たせるような、ものづくりをしたいという気持ちが今はありますね。

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《後編》

取材・文/川辺美希 撮影/井上たろう