大人たちの側面から観る失踪事件と「親心」を描いた物語としての魅力 

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ウィルの母ジョイスを演じるのは、『シザー・ハンズ』のウィノナ・ライダー!!

大人たちもまた「未知の世界」に放り込まれる。中でも重要な存在がふたり。ひとり目は、ウィルの母・ジョイス。数年前に夫と離婚し、以来息子ふたりを女手ひとつで育て上げるため雑貨店で長時間働く彼女は、失踪したウィルを必死に探し始める。ウィルから(と思われる)謎の電話を受けてからの彼女の行動は、よそから見れば常軌を逸しているのだが、子を想う母の立場からすれば当然のことである。
時は1983年。ジョン・ゲイシー事件※が「ピエロ」を恐怖の対象に変えてから、それほどの時は経過しておらず、いくら平和そのものに見える田舎町とはいえ、息子が帰宅していないとなれば、事件性を疑わずにはいられないだろう。

そしてもうひとりがジム・ホッパー。ジョイスとは高校時代の同級生。大きな街で警察官となったが、ひとり娘を病で亡くし、以来離婚してホーキンスに帰郷し、警察署長となった彼は、大きな喪失感を抱えながら暮らすコワモテで孤独な男だ。街と比較すると、ホーキンスでは「事件」と呼べるような代物はほとんどない。そんな彼の人生が一変する「大事件」に巻き込まれていく。

本シリーズの素晴らしさは、単なるティーンのためのジュブナイルものにとどまらない側面からも、物語を描いている点にある。ありがちな「大人不在の世界」ではなく、「成熟しきっていない大人」の立場からも、物語を描いている。
ちなみに、往年のアイドル女優ウィノナが演じるジョイスには後に交際相手が登場することになるのだが、演じているのはなんとショーン・アスティン!! 『グーニーズ』(1985)の主人公・マイキーであり、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ3部作(2001~2003)のサムだ。こんなビッグ・サプライズも本作の魅力である。 

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シーズン2に登場し、ジョイスと恋仲になるボブを演じるのはあのショーン・アスティン 
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『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003)
ショーン・アスティンはホビット族で、主人公フロドに仕える庭師のサムを演じた  (写真左) 
『グーニーズ』(1985) 主人公マイキーを演じたショーン・アスティン(右) 
『グーニーズ』(1985)
主人公マイキーを演じたショーン・アスティン(右) 

※ジョン・ゲイシー事件
ジョン・ウェイン・ゲイシーは、1972年~1978年の6年間で、33人もの青少年を惨殺。1994年5月9日に死刑が執行された。彼の表の顔は、社会的に成功を収め、地域活動にも熱心なビジネスマンであり、子どもを楽しませるためにピエロの仮装をすることもあった。その二面性から「殺人ピエロ(キラー・クラウン)」と恐れられ、『IT』に登場する「ペニーワイズ」をはじめとする多くのホラーキャラクターのモデルになったと言われている。(Vol.02につづく) 

写真/AFLO

編集協力・キャラメル・ママ(渡邉ホマレ)