底辺だから、ちゃんとしなくていいと思えた
──生々しいお話ですが、現役時代、ギャランティはどれくらいもらっていたんですか?
建前でも何でもなく、最初の頃はギャラがいくらなのか聞いていなかったんです。ただ、キカタンのときは撮影本数も多かったので、月収にすると約300万円くらい振り込まれていました。
途中から明細を聞くようになったのですが、打ち合わせをしてから撮影までけっこう時間が空くので、その作品のギャラがいくらか忘れちゃうんですよ。でもそれでよくて。「この作品、ギャラが○○円だから」って思いながら撮影したら楽しくないじゃないですか。
──女優を続けていたのはお金のためじゃなかったんですか?
ノーギャラでやってくださいって言われたら、絶対にやらないですが、お金のためだけにやっていたら、16年も続かなかったと思います。
もともとこの業界に入ったのは、興味本位でしかなく、裸を世界へ向けて晒したけどお金はもらえないんだろうな、事前にいいことばかり言っていたけど騙されるんだろうなって不信感しかありませんでした。
仕事を続けるうちに、ちゃんとお金を払ってくれて、守ってくれるということがわかった。安心感が生まれて、ここにいても大丈夫なんだ、ここが私の居場所なんだって思うようになったんです。
──今は俗にいう「新法」ができて、業界は混乱しています。
一時期、セクシー女優がアイドル扱いされたり、世間的にフィーチャーされたりしていたじゃないですか。私は傍から見ていて、ちょっと違うんじゃないかなって思っていました。本来、業界は目立ってはいけない所ですから。新法ができたのは、悪目立ちした部分も影響したのかなって。
──セクシー女優の仕事は偏見をもたれやすいですよね。
私もデビュー前はそうでした。セクシー女優という仕事を見下していた側なので、単体からキカタンになったときも周囲から「落ちた」って言われることもありましたが、自分では特に何も思わなかったですね。
底辺の仕事の中でランクが多少上下しようが、ほかからみたら底辺なのは一緒。ただ、私は底辺にいるんだって考えたら、すごく気持ちがラクになった。ちゃんとしなくていいんだって思って(笑)。