KEIO Mental #24
最後に背中を押してくれるのは誰かの応援

他喜力は燃え尽きない

他喜力で思い出されるのは、2011年ドイツW杯で優勝した〝なでしこJAPAN〞のことです。

東日本大震災で国内が混乱している大変な時に、しかも国内のアスリートたちがボランティア活動をしているというニュースが伝わる中、彼女たちは、「日本が震災で大変な時に、海外の大会に参加していていいのか」という葛藤があったといいます。

でも、W杯で自分たちが勝つことによって被災者や日本国民を勇気づけることができるのなら、という思いで参加し、優勝という快挙を成し遂げました。

「喜ばせたい人10人」を記入して甲子園優勝を勝ち取った慶応メンタル。やる気が1万倍にもなって長続きする「他喜力」の強さ_2

他喜力がなぜ強いのか。

それは自分の喜びだけを追求して行動していると、私たちはくじけやすいからです

失敗しても「次にがんばればいいか」と思いますし、失敗を重ねて壁に跳ね返されるうちに自己防衛本能が強く働きすぎると自己を正当化するがあまりに、できないことを人のせいにしてしまう傾向を私たちが持ち合わせているからです。

夢や目標を設定するときには、自喜のワクワク要素に、「誰かのために」という要素を加えることが、とても重要になるのです。

喜ばせたい対象が明確になると、苦しい状況に直面しても乗り越えようとする気持ちが強くなります。たとえば、世界の人を幸福にしたいという思いは素晴らしいものではありますが、対象が広すぎては漠然としてしまいます。一方、母親を喜ばせたいという思いであれば、どうしたら喜んでくれるか、どんなふうに喜んでくれるかなど、具体的なアイデアが湧いてくると思います。

塾高の選手であれば、日本一という目標を達成するために努力をしている姿を見せることが、そして、日本一を達成することこそが他喜をもたらす最大のものと思えるようになるでしょう。

「喜ばせたい人10人」を記入して甲子園優勝を勝ち取った慶応メンタル。やる気が1万倍にもなって長続きする「他喜力」の強さ_3

他喜力は、くじけそうになったときだけでなく目標の達成が見えたときにも実は有効なのです。ゴールが見えた途端に安心してそれまでのペースをゆるめてしまった経験はありませんか。私たちの脳は満足感を覚えると、油断・慢心などを引き起こしてしまう傾向があります。バーンアウト(燃え尽き)症候群と呼ばれるものです。

そんな時に、応援してくれる人に感謝の気持ちを届けたい、喜ばせたいという気持ちがあれば脳を満足させることなく、さらに努力・精進し続けられるのです