「グラコロのうた」で認知度がアップ
ハンバーガー評論家の松原好秀氏いわく、グラコロがここまで支持を集めたのは、「コロッケパン」という商品の性質と、グラコロのCMでお馴染みの「グラコロのうた」の存在が大きかったという。
「コロッケパンは、街のパン屋さんでも販売されるほど身近なので、ふだんマクドナルドを利用しない層にとっても魅力的な商品として目に映り、結果として客層が広がったんだと思います。
そして、「グラコロ~グラコロ~♪」というコミカルな歌詞が印象的な曲が、キャッチーなメロディで誰でも覚えやすく、歌いやすい曲調で耳に残る。しかも、マクドナルドのなかでも珍しい、この商品のためだけに作られたCMソングなんです。
期間限定商品には、ほかにも『月見バーガー』や『チキンタツタ』がありますが、オリジナルソングがあるのは唯一グラコロだけ。そう、グラコロは特別扱いなんですよ。冬の定番というコンセプトに加え、商品を連想しやすい曲が毎年流れることで、グラコロはより多くのの人にとって身近な存在になったのでしょう。今では歌詞も付いて、すっかりバラード調のアレンジですが、元はアップテンポな曲でした。聞き比べてみるとおもしろいですよ」(松原氏)
そして、近年のグラコロでは、冬の風物詩というコンセプトのほかに「年の瀬を感じる」商品としての側面も強まってきたとのこと。
「頑張った1年のごほうび、季節の移り変わり、そういった“年末感”を訴える内容に、グラコロのCMが年々変化して行っている印象を受けます。マクドナルド公式のリリース文でも、2021年から『1年を締めくくる』との文言が追加されており、グラコロを食べて、よい年末を過ごしてほしいといったメッセージに感じますね」(松原氏)
年末という特別な時期に、“ほっ”と温まる商品を食べると、心機一転して年明けからもがんばることができそうだ。マクドナルドの當山氏も、人々の“あたたかな思い出”が増えるように、グラコロを引き続き販売していく予定だと語る。
「30年もの長きにわたり、毎年大変多くのお客さまに冬の定番メニューとしてご愛顧いただいて本当にうれしく思います。今後もグラコロを召し上がって、冬の到来を感じていただき、心も身体も温まっていただければ幸いです」(當山氏)
取材・文/文月/A4studio