クルマ乗りの心得

1年に一度、ジャーナリストや自動車ライターに向けた輸入車試乗会というのが開催される。聞き覚えのない名前だと思うが、日本自動車輸入組合(JAIA)というところが主催する。ほぼ、輸入されるすべての新車に乗れる、ということで開催される神奈川県大磯町のホテルの駐車場は1年に一度、花が咲いたようになる。僕はかれこれ30年近く通っているだろうか。

30年通っていると、この催し物にもいろいろな変化があった。一番大きかったのはETCの登場だった、と個人的には思っている。最初の頃は試乗車にETCの機械そのものが装着されている車両が少なかったから問題はなかった。

でも翌年には半分くらいが装着された。インポーターによってはETCカードを用意して、どうぞお使いください、みたいなところもあったし、袋に入れた現金を用意したインポーターもあった。個人がETCカードを用意し、乗るクルマに挿し込んでいく、という暗黙のルールが出来上がったのは割合最近だったのではないか。

僕がマイカーにETCを導入したのは意外に遅く、登場から2~3年は経っていたと思う。最初はどうにもこの小さな機械が信用できなかった。それにゲートが開かず立ち往生しているクルマを見るにつけ、あれにだけはなりたくない、と思った。

「流出しないようにしなくちゃ」松任谷正隆がETCゲート前で土下座も覚悟したトラブル_1
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とはいえ同じように思うドライバーも多いらしく、目の前のドライバーが立ち往生しても、あーあ……くらいで、クラクションを鳴らすような輩はいまだに見たことがない。こんなとき、日本は案外いい国なんだな、と思う。