ヒョンビンの魅力にふらふらになったあげく…

2000年初頭、それまで洋画と英米ドラマを中心に掲載してきた「ロードショー」が、『冬のソナタ』(2002)をきっかけに大ブームとなった韓国ドラマに着目。韓流ムックに寄稿していた私に白羽の矢が立ちました。

編集部も読者も初心者だということで、まずは読者に向けて「韓流とは何ぞや?」という記事を執筆するようにというご用命が。私は役に立てることが嬉しくて、韓国映画・ドラマ・俳優などについてボリュームたっぷりの記事をノリノリで書いたのを覚えています。そして、韓流に関するコラムも連載し、しばらく経った頃、今も忘れられない取材が舞い込みました。

韓国で社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ『私の名前はキム・サムスン』(2005)で一気にブレイクした、ヒョンビンのインタビューを担当することになったのです! ヒョンビンといえば、そのドラマで演じたキャラクターが“元祖ツンデレ男子”として日本でも人気を博し、のちには『愛の不時着』(2019)に主演して世界的に注目されたスター。私も『キム・サムスン』に夢中になっており、取材できるなんて!と、舞い上がっていました。

『愛の不時着』のヒョンビンの寝たベッドに思わずダイブ!_2
 『不時着』直前の2018年、映画『ザ・ネゴシエーション』の記者会見に現れたヒョンビン(右)とソン・イェジン。この頃はもう大スターの貫禄
Sipa Press/amanaimages

彼は主演映画『百万長者の初恋』(2006)のPRで初来日し、取材依頼も殺到していました。ツンデレのイメージが強かったため、素顔はどんな感じなのかなとワクワクしながらインタビューに向かったのですが、実物はあまりにも素敵で、正直インタビューの内容をあまり覚えていないのです。覚えているのは、とにかく真面目で誠実で感じが良く、裏表がない印象。そして、何よりもビジュアルが最高に美しく、キラキラしたイメージが脳裏に焼き付いています。

とにかくポーッとなりながらインタビューをしていたら、「そろそろ終了です」と声がかかり、私がショックの声を上げたんだと思うのですが、ヒョンビンも非常に申し訳なさそうな顔をしてくれたのは忘れられません。インタビュー後に写真撮影があり、ホテルの客室での取材だったので、カメラマンがベッドに寝そべるポーズをヒョンビンに依頼し、セクシーでカッコいいショットが撮れました。

撮影が完了し、ヒョンビンが退出して、撤収という時に、私は何を血迷ったのか、さっきまで彼が寝そべっていたベッドにダイブしてしまったのです(完全に無意識だったと思います)。同行した編集者が驚いて、「清水さんのそんな面を初めて見ました! すごく冷静にインタビューしているように見えたし、そんなかわいいところがあったなんて」と笑いながら言うのを聞いて、我に返って大赤面しました。それをきっかけに、私よりもだいぶ若いその女性編集者と仲良くイケメン談義をできるようになったのは、素敵な思い出です。

『愛の不時着』のヒョンビンの寝たベッドに思わずダイブ!_3
これがそのときのインタビュー掲載ページ。ヒョンビン、若い! ベッド写真は採用されず
©ロードショー2007年2月号/集英社

このたび、「ロードショー」がオンラインでレーベルとして復活するにあたり、思い出を書かせていただく上で、対照的なふたつのインタビューを振り返ってみました。どちらも、とても大切な思い出であり、貴重な経験です。そんな体験をさせてくだったことに感謝の気持ちを込めつつ、今後も「ロードショー」が発展していきますよう、大いに期待しております!