「トランプ有罪」で思わぬ出番も
最新の世論調査によれば、ラマスワミ氏は第2回目の討論で集中砲火を浴びて全米の注目を集めたことも手伝って、共和党候補としては前述したようにトランプ氏、デサンティス氏、ヘイリー氏に次ぐ第4位に食い込んでいる。とはいえ、共和党支持者の過半数以上がトランプ氏支持の傾向は今後も手堅く、常識的に考えれば、ラマスワミ氏が共和党候補になる確率は絶望的に低い。
だが、ここでワイルド・カードが一枚ある。ラマスワミ氏の政策はトランプ支持者をそのままガッツリつかめる内容だということだ。討論会で「トランプ氏が有罪になったら、大統領としてあなたは彼に恩赦を与えるか」という司会者の質問に、ただラマスワミ候補だけが即挙手をし、「イエス!」と明言したのだ。
トランプ氏をめぐる刑事訴訟は現在、主要なものだけでも4件の審理が同時進行しており、ひとつでも初審有罪となれば、穏健な保守層を中心にトランプ離れが起きてもおかしくない。
トランプ有罪の有事のときこそ、俺の出番だ――。トランプ氏を彷彿とさせる炎上覚悟の過激な言動ぶりを見るにつけ、ラマスワミ候補がそう密かに計算しているように思えてならない。
取材・文/小西克哉 写真 shutterstock