日本企業にも触手を伸ばすラマスワミ氏

たとえば2015年、彼はロイバントの子会社アクソバント・サイエンシズを設立し、大手製薬会社からアルツハイマー治療薬インテピルジンの特許を500万ドルで購入している。

新しい臨床試験をする前に新規株式公開(IPO)を行うと、そのメディア戦略の巧みさも手伝ってか、アクソバント社の市場価値は30億ドル(4300億円)に急騰し、ラマスワミ氏は一躍ウォール街の寵児となった。

しかも、その後、臨床試験に失敗したものの、ダメージは子会社に限定され、彼自身は損失を潜り抜けた格好になっている。この用意周到さは日本の若手起業家にはなかなかないものだ。

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実業家としてのラマスワミ氏は日本企業にもその触手を伸ばしている。世界最大のIT系投資ファンドも運営する孫正義氏にプレゼンし、ロイバントに11億ドルもの投資を引き出すことに成功したのはその典型だ。

その交渉では孫正義氏がプレゼンの席で好んで使うとされる、「金の卵を産むガチョウ」や「一角獣が右肩上がりに上昇するイラスト」などがフル活用されたという(ニューヨーク・タイムズ、2023/6/23)。

また、2019年にはロイバントの子会社でも有望な5社を大日本住友製薬(現、住友ファーマ)に30億ドルで売却している。このM&Aでラマスワミ氏の翌年のキャピタルゲインは1億7400万ドル(約240億円)にもなり、欧米メディアでも大きな話題になったほどだ(フィナンシャル・タイムズ、2023/8/26)。