#2「トランプ有罪」なら一躍、共和党の大統領候補に⁉ アメリカ版”ひろゆき”・ラマスワミ氏の華麗なる経歴

8月の共和党討論会で大注目

「あなたの話を聞くたびに、自分がバカになる気がするわ」

今年9月。共和党大統領候補7人が参加した第二回目の討論会――。ニッキー・ヘイリー候補がある候補に向けて放った敵対的なひと言が全米の注目を集めた。批判を浴びせたのはヘイリー候補だけではない。他の5候補も同様だった。

この討論会で集中砲火を浴びたのは億万長者の起業家ビベック・ラマスワミ氏だ。インド系移民の弱冠38歳。共和党内でもまだ知名度は低い。そんな候補がライバルたちからなぜ、執拗な攻撃に晒されたのか?

ラマスワミ氏(写真/AFLO)
ラマスワミ氏(写真/AFLO)
すべての画像を見る

それは8月にあった第一回討論会で、並みいるベテラン政治家の面々が彼をはっきりと「脅威」と感じ、警戒心を高めていたからに他ならない。

ラマスワミ氏の8月の討論会での発言の一部を紹介しよう。

「おかしな名前の小男がどうして政治討論会のど真ん中にいるのか。疑問に答えよう。私は政治家ではなく、起業家だ。両親は40年前に移民してきた一文無しのインド移民。私は神を信じ、二人の息子を妻と育てながら会社を創立し、その売上は今や、数千億円規模にまでなった」

「だが私の息子の世代には、このアメリカン・ドリームは存在しない。なぜか。共和党の政治のプロたちが夢の実現から逃避しているからだ。我々はアメリカン・ドリームというビジョンから逃避してはならない。誰が車を壊した犯人にその車のカギを手渡すだろう。カギは次の新しい世代に渡すべきた。だからこそ私は今、ここにいる」

「移民」「一文無し」「努力」「神」「成功」などという、アメリカン・ドリームの鉄板的要素を取り入れ、1分足らずで自己紹介を仕上げる弁舌は実に見事だった。クリントンやオバマ、バイデンなど、民主党の大統領にはこの種の成功譚の名手が多いが、保守系の若手では珍しい。