電動キックボードはなぜ、既存の公道に割り込むことが許可されたのか
最高時速20kmに規制されている電動キックボードは、バイクのようなスリルはないものの、環境に優しく、身近で手軽な移動手段として、都市部の若者たちに広く受け入れられている。
シェアリングサービスとしての展開も進んでおり、所有することなくアクセスできる手軽さが魅力だ。
全国でレンタル電動キックボードを展開しているLUUP社が、2020年4月〜2022年3月に調査したところによると、ユーザーの年齢層でもっともボリュームがあるのは30代の約30%。次いで20代の約25%となっている。
30代をピークに、年齢が高くなるほどユーザーは減り、50代は約15%、60代になるとわずか5%にとどまる。バイクとは正反対のユーザー構成となっていることがわかるだろう。
ゆえに、若者たちの間で人気がある電動キックボードは、「新時代の自由」を象徴する乗り物と言える。
だが、一般に高年齢層が多い保守派の立ち位置から見ると、電動キックボードは伝統的な乗り物とはかけ離れた存在であるため、理解し受け入れることはなかなかできないようだ。
既存の公道に、スペース的にもルール的にも割り込むような形で入ってきた後発の電動キックボードに対しては、リベラルvs保守で意見がくっきり二分されていると見てもいいかもしれない。
ジャーナリストの辛坊治郎は近刊「日本を覆う8割の絶望と2割の希望」(PHP研究所)で電動キックボードについて触れ、新種の乗り物に対してかなり否定的な日本の世論を覆し、電動キックボードに公道走行が許可された経緯について叙述している。
公道走行実現を目指した人たちは、あらゆる方面で規制が厳しい日本社会の状況を逆手に取り、「電動キックボードのために新たな法規制を作ってください」というロビイ活動をおこなったのだとか。
この主張により、交通関係の規制で飯を食っている既得権益層が張り切って、新たな飯の種のためのルールづくりを積極的におこなった結果、比較的早期に公道走行が可能になったのだという。