ウインカーを出さない? 一時停車しない?
2022年度、10万人あたりの交通事故死ワースト1位という不名誉な記録を頂戴してしまった岡山県。
警察庁によれば、岡山県の昨年10万人あたりの交通事故による死者数は3.94人。全国平均が2.0人だから、ほぼ2倍の発生率ということになる。
岡山県といえば、以前から交通運転マナーの悪い県としてつとに有名だ。たとえば、JAFが2017年に行ったアンケート調査。
「ウィンカーを出さずに車線変更をしたり、右左折する車が多いか?」という設問に、岡山県在住者の回答は「とても思う」が53.2%、「やや思う」が37.8%で、両者の合計が91%にもなっている。ちなみに、「とても思う」の全国平均は29.4%ほどだ。
また2021年の同調査でも、歩行者が信号機のない横断歩道を渡ろうとしている時に「一時停車する」という回答が全国平均30.6%なのに、岡山はわずか10.3%しか停車しないという結果になっている。岡山県に入ると、道路わきに「とまろう岡山」と大書された看板がやたらと目につくのはこうした交通マナーの悪さの反映でもある。
こうなると、岡山県が昨年、人口10万人あたりの交通事故死者数ワースト1位となった原因は、こうした運転マナーのせいではないかと考えたくなる。そこで真偽を確かめるべく、岡山県警を取材してみた。
だが、返ってきた答えは意外なものだった。
「交通マナーの悪さが事故死増につながったのかどうか、データが不足していることもあってはっきりとはわかっていません。たとえば、JAF調査によれば、歩行者が道路を横断している時の県内の車の停止率は22年より21年の方がずっと悪い。なのに、21年の10万人あたり事故死者数は全国12位どまりです。交通マナーの悪さと事故死者数は必ずしもリンクしていないんです」(岡山県警交通部)
では、いったい何が死亡事故増加の原因なのか?