介護初期の「介護パニック期」に注意
介護の負担を減らすには、介護保険をフル活用し、民間のサービスも活用する必要があります。そのためには、介護サービスに関する広い知識が必要なのです。
しかしこれは、特に、介護の初期においては到底無理な話です。ここには「タマゴが先か、ニワトリが先か」という問題があることが理解できるでしょう。
病気でも、介護でも、問題の早期発見と早期対応が重要になります。病気については、自覚症状が出たり、健康診断の結果などから、病院に行けばなんとかなることも多いでしょう(本当は予防することが大事なのですが)。
しかし、介護というのは、どこからが介護なのかの判断さえも難しいものです。特に、そうした介護の初期段階にあれば、検索のための基本的なキーワードさえわからないでしょう。
このため、多くの人にとって、介護の初期が地獄になります。介護サービスに関する知識が足りないため、何もかも自分でやらなければならないと誤解します。そこに、少しずつ介護サービスに関する情報が入ってくると、混乱してパニックになります。
いわゆる「介護パニック期」の到来です。そして(確固たるデータはないのですが)介護離職は、この「介護パニック期」に集中するようです(図1)。
介護による離職を避けるには、とにかく早く「介護パニック期」を抜け出す必要があります。そのために打てる手立ては2つしかありません。
1つは、介護が始まる前から介護サービスに関する勉強を進めることです。
はじめにでもふれたとおり、介護は、育児とはまったく異なり、そもそも知識がゼロの状態から急に始まることがほとんどです。その状況を避けるため、介護が始まる前からある程度、介護サービスについて自分でも勉強を進めることは大切なことです。しかし、もし今すでに介護が始まっていて「介護パニック期」にあるなら、自分での勉強は正しい戦略とは言えないでしょう。
この場合は、もう1つの手立てが最も重要です。もう1つは、介護サービスに詳しい人(介護のプロ)に助けてもらうことです。
そうした人に「介護離職を避けるためには、どのような介護サービスを利用すればよいのか」を相談すれば、かなりの確率で介護離職を避けることに成功できます。具体的には、優秀なケアマネジャーや、地域包括支援センターに相談することが必須となります。