子どもを守る政治が大人を豊かにする

安冨 それが、子どものための政治が大人を豊かにするということの意味だと思うんです。政治が具体的に何を目指すのかといえば、今おっしゃられた全ての子どもがおなかいっぱいご飯が食べられているという状態。これは人類社会が維持され、存続するための最低限のことだと思うんです。
 
 そうです。今は本当に分断されていて孤立化しているので、ひとり親家庭でお母さんが夜のお仕事とかあると子どもが腹を減らしていても、周りも気づきにくいんです。明石市はそれを気づくように何とかネットワークを張って相当やっているつもりです。そこが今の時代における政治行政の使命、役割だと思います。

「子どもを守る政治が大人を豊かにする」泉房穂元明石市長がまだ日本を諦めていない理由 泉房穂×安冨歩_2
泉房穂氏

安冨 その線を守ることに反対する人なんていないと思うんですよね。だけど、実際にはおなかを減らした子どもたちが物すごい数、日本社会にはいる。それを放置していて平気だと言える政治家は一人もいないと思うのに、実際には放置している。全ての子どもが誰にも殴られず、寝るところがあって、おなかいっぱいになっている状態を実現する。これは誰も反対できない大義であるはずですが、これに本気で取り組むということを日本の国はしていないわけですよね。

 そうですね。いいところのお嬢さん、お坊っちゃまが有名進学校を経由して政治家や官僚になると、想像力も貧困で、子どもたちへアンテナも張ってなければ、気づきもない。何か申請しても今検討中ばかりで、早うやれよと。子どもが腹減らしとんねんから、何でも食べ物持って行ったれよと。明石市はそれを持っていっている段階ですが、大事なのはおかずを届けることではなく、腹を減らさなくてもいい、子どもが泣かなくてもいい社会をつくることでしょう。子どもが泣かなくてもいい制度設計をするには国の政策が重要なんです。だから明石モデルを横展開、縦展開をして、国にいろいろやってくださいよと今働きかけているんですよ。