大どんでん返しもありうる、クライマックスの「推理発表」

「推理発表」の時間では、自分が得た情報を基にして犯人が誰なのかを全員で議論、推測し、犯人だと思う人物に投票。多数決で決定する物語のクライマックスだ。

ここまでで怪しい人物を絞れていた私は、犯人らしき人物の犯行動機や犯行のタイミングの仮説を組み立て、自らのメイン目標である「犯人として捕まらないこと」を達成する気満々でいた。

私は“犯人”なのか? 今、話題の体験型推理ゲーム「マーダーミステリー」をやってみた_c
当日使われた、登場人物7人それぞれの台本

しかし、ある人物の一言で場の空気が変わる。

「僕ね、犯人分かっちゃったんですよ」

――そう、私と最後に密談をした人物だ。

今になって思うのは、その言葉の切り出し方の巧妙さ。彼は「犯人分かっちゃったんですよ」と言いながら私をしっかりと見据えた。それに倣うように、まだ判断を迷っていたであろうプレイヤーの視線も、一気にこちらに向いた。

密談相手「〇〇(筆者の役名)さん、あれは何だったのですか? あのときなぜあなたがあんなモノを?」

私「それは、たまたま、思わず、その……」

密談相手「思わず?」

私「えっと、その、よく覚えていないのですが、確かに□□に戻って……」

密談相手「それは不自然すぎませんか? そのとき△△さんも一緒にいましたよね?」

崖に追い込まれたサスペンスドラマの犯人のように、じわじわと追い詰められていく。

私「あ、えっと……。や、やっぱりちがうかもしれません(?)」

パニックになりすぎて記憶が曖昧だが、30 歳を過ぎてあそこまでしどろもどろになったのは間違いなくこのときが初めてだ。

結局、たったひとつの怪しい行動が仇となり、私は投票により容疑者として捕まり、ストーリーは幕を閉じたのだった……(ちなみに筆者の役は真犯人ではなく、全体としても犯人を逃がしてしまう結果に)。