「その店はあっという間に潰れました」

ただし、ラーメンづくりに関するこだわりや情熱はあまり感じられなかったという。修行を終えて相模原市の実家近くに昭仁容疑者が開いたラーメン店を訪れたこの関係者は、出されたラーメンに驚いたという。

「例えばウチが味噌ラーメンの店だとしたら、醤油ラーメンを出すというか…」

要するに昭仁容疑者は、修行先で学んだはずの味を再現することもなく、コンセプトが不明瞭で、しかも「まずい」ラーメンを出していたのだという。この関係者も、先述の知人も「その店はあっという間に潰れました」と口を揃える。

結局、そのラーメン店は2〜3ヵ月で閉店に追い込まれ、昭仁容疑者はその後、複数のラーメン店を従業員として転々とし、約5年前、親族の弘輝さんが人気店に成長させた「らーめん弘」で働くようになった。

親族にかけてもらった恩を仇で返された弘輝さんの無念を偲び、現場には献花に訪れる人が絶えない。その中のひとりに弘輝さんの小中学校時代の同級生の男性がいた。

「弘輝は本当に気さくで誰とでも仲良くて、みんなには『パチ』って呼ばれて、人なつっこいからか年上にも可愛がられてました。恨まれるようなヤツじゃないんで、なんでなんだろうとずっと考えてましたけど、親族絡みの事件と知ってやりきれない気持ちになりました。
さっきも高校の部活の後輩だという人が手を合わせにきてて、たくさん涙を流していました。地元だけじゃなく、高校でもすごく慕われてたんだな、やっぱりパチはいいヤツだよなって思いました。1年くらい前に同窓会でも会ったんですけど、特に悩んでる様子もなくていつも通りだったんです、それがしっかり話せる最後の機会になっちゃうなんて悔しいです」

殺害された弘輝さん(本人SNSより)
殺害された弘輝さん(本人SNSより)
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昭仁容疑者は警察の調べに対し「私がやったことに間違いありません」と容疑を認めているという。動機の解明が待たれる。


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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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