ネットで「愛って何?」とか調べてみたんですよ(笑)

ーーロケ地はどんなところでした?

みゆきと悟の出逢った喫茶店「ピアノ」のロケ地は原作と同じ東京の広尾です。広尾商店街にも行きました。居酒屋のシーンは有楽町でした。今回はすごく都内ロケが多かったです。

ーー長回しについてのエピソードを教えてください。

基本的には本作のような狙いがない限り、フィルムを長く回すことは少ないのかもしれませんが、今回はカット尻を長くとるといった場面がいくつかありました。私の場合、近年はドラマの現場が多いので、そうなると長回しをするというのはもっと少ないんです。でも、だからこそ、本作独特のライヴ感がありましたね。

例えば居酒屋でのシーンでは10分以上回してて、使われなかった場面ももったいないくらい全部が本当にすっごく面白かったんです。
そのアドリブシーンと言いますか、長くカット尻を撮っているときには、男性3人(二宮、桐谷、浜野)は盛り上がっていますから、みゆきのキャラとしては入っていきにくいんです(笑)。なかなか会話にも馴染めないし、でも唐突に入るのも変だし、このままでいいのかなぁ~?っていう間で(笑)。俳優としての意識で「何かしなきゃ!」っていう感覚はあったんですが(笑)。

波瑠と純愛。「ネットで“愛って何?”とか調べてみたんですよ(笑)。ただ目の前の人を愛するって何なのか?と探し続けました」〈映画『アナログ』〉_4

ーー印象的な思い出はなんでしょう?

本編ではわずかなシーンかもしれませんが、お蕎麦を打つシーンでのために1時間程のお蕎麦体験教室を正式に頭から受けさせていただいて。それが二宮さんの手作業がすっごくお上手で、それを見て「やはり手先の起用なデザイナーの悟さんだな」と感じました! その場面は好きでしたね。

ーー波瑠さんにとって純愛とは?

不思議だなと思うのが、本作が“大人の純愛”と謳っていながら、なぜかみゆきと悟のやりとりって、ものすごくウブ(初心)なものに見える不思議さがあるんですよね。

“大人の!”と言いながらも年齢が大人なだけで、ものすごくピュアな恋愛をしている2人。私のイメージでは愛おしいギャップがあったように感じました。まるで初恋のように、初めて人を好きになったときのように惹かれあってという。「これが純愛だ!」みたいな(笑)。

本作に出逢ってから、私、ネットで「愛って何?」とか調べてみたんですよ(笑)。「何が純愛なの?」みたく。
人との出逢いも常に変わり続けていくものだし、もう本当に答えがない中で、ただ目の前のあなたを愛するというような意味は、果たして何なのか?ということを探し続けました。

「本作を観た時、あなたは誰を思い浮かべますか?」
「本作を観た時、あなたは誰を思い浮かべますか?」
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ーー最後にメッセージをお願いします。

映画を作った私どもの希望としましては、もちろん世代も性別も国籍も問わず、多くの方々に楽しんでいただきたいです。

作品から漂う空気感だったり、登場人物それぞれの想いを胸に感じて心が温かくなるような映画だと感じていただけたらとてもうれしいです。そして時には「自分の愛とは何なのか?」と考えることにも繋がったり。

本作を観た時、あなたは誰を思い浮かべますか? とか、そうした心の有り様をじっくりと観察していただくのも面白いかなと思います。

そしてやっぱり大切な人と観ていただきたい映画ですね! 公開される秋口、ちょっとだけ肌寒くなって来たころ、是非、映画館へ足をお運びくださいませ。

取材・文/米澤和幸(lotusRecords) 撮影/栗山秀作

波瑠
1991年生まれ 東京都出身
2006年、WOWOW「対岸の彼女」で女優デビュー。2015年、ヒロインの白岡あさ役を演じたNHK連続テレビ小説「あさが来た」で、一躍トップ女優の座に。透明感あふれる美貌と確かな演技力で多くの支持を集める。
主なドラマ出演作に、「世界一難しい恋」「あなたのことはそれほど」「#リモラブ~普通の恋は邪道~」「未来への10カウント」「こっち向いてよ向井くん」「わたしのお嫁くん」が、主演映画も「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」「弥生、三月-君を愛した30年‐」「ホテルローヤル」など多数。

『アナログ』(2023)  上映時間:2時間/日本

恋をしたのは、携帯を持たない君でしたーー

手作り模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの悟。
携帯を持たない謎めいた女性、みゆき。
喫茶店「ピアノ」で偶然出会い、連絡先を交換せずに「毎週木曜日に、同じ場所で会う」と約束する。
二人で積み重ねるかけがえのない時間。悟はみゆきの素性を何も知らぬまま、プロポーズすることを決意。
しかし当日、彼女は現れなかった。その翌週も、翌月も……。
なぜみゆきは突然姿を消したのか。彼女が隠していた過去、そして秘められた想いとは。

ふたりだけの“特別な木曜日”は、再び訪れるのか——。

“大切な人に会える”その喜びを改めて知った今だからこそ。
愛の原点を描いたラブストーリー。

原作:原作:『アナログ』(集英社文庫刊) 著者:ビートたけし https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-744506-0

10月6日(金)より全国ロードショー
配給:東宝 アスミック・エース
公式サイト:https://analog-movie.com/
©️2023『アナログ』製作委員会
©️T.N GON Co., Ltd

波瑠と純愛。「ネットで“愛って何?”とか調べてみたんですよ(笑)。ただ目の前の人を愛するって何なのか?と探し続けました」〈映画『アナログ』〉_6