大切な歯を失ってしまうかもしれない“ブラキシズム”とは? 「原因不明の偏頭痛」「犬歯の尖りがなくなった」「歯の付け根にくぼみ」の兆候には要注意
知らず知らずのうちにやってしまう歯ぎしり、噛みしめは歯を壊す〝悪習癖〞だった。もはや単なる「噛みグセ」ではなく、「咬合病」といってもいいほど怖い「ブラキシズム」とは何なのか。そしてそれがもたらす歯や口内の影響とは…『ブラキシズムが歯を壊す! 隠れた「歯の天敵」を知っていますか?』(現代書林)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
『ブラキシズムが歯を壊す!』#1
歯ぐきへの影響
歯肉が退縮してくると歯が伸びてきたように見えたり、歯の根のまわりの骨の吸収が進んで、歯の根っこが見えてきます。
また、歯ぐきの血流が悪くなって、歯ぐきの中で骨や歯肉の炎症を抑えることができなくなり、歯ぐきの炎症が悪化します。こうしたことが、歯周病を進行させます。
原因不明のお口の症状
虫歯もなく、クサビ状欠損もないのに、知覚過敏を起こす人がいます。これは、食いしばりや噛みしめがあって常に強い力が歯の中の神経に加わり、神経が興奮して、知覚過敏を起こすからだといわれています。
また、この場合、原因不明の歯の痛みや咬合痛(虫歯でないのに噛むと痛い)で、何軒も歯科医院をハシゴしているという患者さんを、これまで数多く診てきました。長年患っていた原因不明の偏頭痛が、食いしばりや噛みしめが原因だったという患者さんもいます。
こうしたことの他に、修復物や補綴物の破壊(破折)、セラミックでできた歯の欠けやヒビ割れなど、治療した歯や補填物も壊されます。
また、虫歯や歯周病、顎関節症の発症や増悪にも関わっているといわれています。
文/池上正資 写真/shutterstock
#2『口を閉じているとき、無意識に奥歯が当たっていませんか? 歯の天敵「TCH」の噛みグセが歯を失うリスクが増大させている!』はこちらから
『ブラキシズムが歯を壊す! 隠れた「歯の天敵」を知っていますか?』
池上 正資
2023/5/10
¥1,540
200ページ
ISBN:978-4774519777
「同じ歯の銀歯が何度も取れる」「同じ歯ばかりが痛む、虫歯になる、しみる」・・・
皆さん、歯の治療でこういう経験はないでしょうか?
普通、虫歯などは一度治療が終われば、短期間で同じ歯が悪くなる事は滅多にありません。
ただ、そういう訴えをしてくる患者さんが多くいらっしゃることも事実なのです。
それはナゼか?
歯科医になって40年、開業して35年を超える治療実績を持つ著者はそれをずっと考えてきましたが、あの時気付いたのです。
「ブラキシズム」が原因だと。
(「ブラキシズム」とは、「歯ぎしり」「噛みしめ」「食いしばり」などの噛み癖の総称)
「ブラキシズム」という考え方自体は20世紀初頭には知られていました。
当時はあくまで「クセ」であり、病気ではないという考え方です。
ただ、近年の歯科医学の研究の結果、単なる「クセ」では片づけられず、口の中に多くの問題を引き起こす原因になってきているという事が分かってきています。
ところが、患者さんだけではなく、歯科医師の中でもまだ広く知られていないのも現状なのです。
著者は現場での治療を行うにつれ、一般の人に広まっている症状だということに危機感を持っています。
そもそも「ブラキシズム」の多くは無意識、あるいは就寝中に行っているので、本人は気付いていない事が厄介な点です。
端的に言えば「ブラキシズムが歯を壊す」のです。
著者は「ブラキシズムをどうするか」という問題、そして解決法・治療法を読者の皆さんと共有したいと思い本書を書きました。
【目次】
はじめに
第1章 あなたのお口の悩み、「ブラキシズム」が本当の原因かもしれません
第2章 虫歯や歯周病とブラキシズムの深い関係
第3章 歯科の治療法とブラキシズム ―ブラキシズムで咬合が崩壊する!?
第4章 ブラキシズムの治療 ―治せなくても軽くすることはできます
第5章 大事なお口を守るための予防歯科医療
第6章 歯科医院との上手な付き合い方
おわりに