外国人を攫う方法

――半グレというか、組織のメンバーが面接するのですか?

うーん。面接者は、即席のメンバーか、こっちの人間か、それはケース・バイ・ケースですね。誰が首謀者か分かんなくして、さらに人を集めます。そして、チームを作るんですが、お互いは名乗り合わないようにする。携帯で話をしていて、段取りのいい奴がいると、そいつを班長にします。その班長には、集めた匿名者の中から四人を選んでもらって、5人1組のチームを作ります。そして、仕事のために車を手配するのです。レンタカーは足がつくので危険です。だから、買います。当時は、金融車や盗難車が3万円くらいで買えました。

実行犯の車と、納品受け取りの車は違います。受け取りの車は、運送会社のトラックを使います。昔は、運送会社の営業所に車のキーがありました。そのキーから事前に合いカギを作っておきます。犯行時にこの会社のトラックを使っても、夜に走行メーターが増えているから分からない。朝来た運転手は、朝のメーターを記録するだけですから、記録上、会社のトラックは昨晩から朝まで、そこにあったことになっています。絶対に足がつきません。

そして、いよいよタタキを実行します。

――ルフィの狛江事件のように被害者の家にタタキに入るのですか?

我々は、ちょっと違います。外国人専門のタタキです。理由は警察に通報されにくいから。ただし、覚せい剤の売人とかやっているイラン人はダメ。イラン人は1人に対して7〜8人は必要です。彼らはイラン式の筋トレ(ズールハーネ)をやっているから強い。少人数では勝てませんし、シャブの売人を襲ってもカネを持っていない。

「イラン人は強いからこっちも7~8人必要。中国人が警戒するパーソナル・スペースは日本人や韓国人よりも半径が広い」タタキ専門の元半グレが語る外国人をタタくための鉄則_2

――外国人で、カネを持っているタタキの相手とは?

アジア系、泥棒稼業の人間とかがやりやすいですね。被害者になっても通報できないでしょう。犯罪を業としている。加えて、不法滞在者の可能性があるからですね。

彼らは、お金を持ったら繁華街に繰り出します。中華料理店とかに大人数で乗り込んで派手に騒ぎます。ボスが誰かすぐに分かりますから、路上で誘拐するんです。慣れるまでは5人で囲みますが、慣れると2人で誘拐できます。

パーソナル・スペースってありますよね。日本人や韓国人は、かなり近く、1メートルまで接近しないと振り向かない。しかし、中国人は2メートルで警戒します。ですから、前方から来る人間は、結構、距離を取らないといけません。前から来る人間に気づく頃に、後ろから来た人間が、そいつのベルトを摑みます。人間は、重心が浮くと力が出ない。パンチを打つにしても、ケリを入れるにしても、重心が大事なんです。

だから、ベルトを摑まれると、つんのめります。前後の人間で挟んで、「分かってんだろ」とか耳元で言うと、大体、自分も後ろ暗いことをしているから、大人しくなります。こっちも(洋服の)青山とかで買ったスーツを着ていますから、警察に見えるんですね。そのまま車に連れ込みます。

そして、目隠しして、縛り上げ、茶箱みたいな箱に押し込めます。そして、人間が入った箱をトラックの荷台に積み込む。これを「納品」と呼んでいました。実行犯が納品まで終われば仕事は終わりです。報酬は闇バイトというか、匿名実行犯に10万円を渡します。