「こんなの、部隊でやったら即懲戒だ」
驚いた矢島さんが、娘に防大進学を勧めた友人(幹部自衛官【4】)に相談すると、友人も仰天していたという。
「LINEを見せたら『こんなの、部隊でやったら即懲戒だ』と激怒して、自分の部隊の法務官に話を聞いてくれました。数日後、彼から電話があり『法務官も、パワハラの可能性が極めて高いと言っている。防大に調査を求めるべきだ』と助言されました」
矢島さんは、娘の指導官に電話をかけて「娘が居室でパワハラ被害を受けた可能性があるので調査を求めたい。通報窓口はどこか」と尋ねた。すると指導官は、通報窓口として防大・社会連携推進室を挙げたという。
だが、社会連携推進室とは単なる防大の広報部門である【5】。
「社会連携推進室に連絡して尋ねると、『ここでできるのは、服務部署にメールを転送することだけです』と。それなら服務部署に直接連絡したいと言っても、『できない』の一点張りだったので、詳細を記したメールを送りました」
その後、社会連携推進室の事務職員から「服務部署に取り次いだ」という連絡があっただけで、当該の部署からはいっさい連絡ないまま、1か月が過ぎた。
事態が変わらないことを悟った矢島さんの娘は、その間に防大退校を決めたという。さらに1か月が過ぎた。業を煮やした矢島さんは、防大ではなく、防衛省のパワハラホットラインに連絡し、ことの次第を訴えた。