共依存親子

過保護型の親のもとでは、子どもがなかなか自立することができません。同時に、親も精神的に自立できていないと言えます。子どもを依存させることで自分を満たしており、子どもが自分に依存しない未来が怖いのです。
 
ヒロカズの母親は、奇跡的に授かった息子を大事に思うあまり「ずっと自分のもとに置いておきたい」と考えてしまっていました。子どもが自立して、自分から離れていっては困るのです。

いつまでも援助を続けたいので、常に子どもからの援助要請を求めています。留年してレポートを書かなければならないことも、仕事が見つからないことも、「嬉しい」援助要請。代わりに何とかしなくてはと張り切っていました。

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もちろん、子どもが困難に直面しているときにサポートするのは普通のことです。しかし、援助の仕方が間違っています。まずは話を聞き、どうやって乗り越えるべきか一緒に考えるというスタンスが必要でした。

このような親ですから、ヒロカズは依存することから抜け出せません。お互いに必要以上に依存しあっている状態=「共依存」に陥っていました。

共依存とは、特定の相手とお互いに必要以上に依存しあい、その関係性に囚われていることです。恋愛関係でも友人関係でも起こりますが、親子関係では、親が子どもを自分に依存させるように仕向けます。子どもに依存されていることで、自分の存在価値を見出しているため、親も子に依存しているわけです。

文/出口保行 写真/shutterstock

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息子の大学レポートも代筆する「超過保護親」…30歳引きこもり男性が覚せい剤で逮捕されて発した衝撃の言葉とは_6
2023/8/5
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240ページ
ISBN:978-4815621629
知らず知らずに偏ってしまう子育ての危険性

心理学者サイモンズは、子育ては4つのタイプに分けられると言いました。

著者は法務省心理職として1万人を超える非行少年・犯罪者を見てきた結果、サイモンズの言ったとおり、子育てには4つのタイプが存在すること、いずれかのタイプに偏った家庭に犯罪者が育つことを確信しました。

その4タイプとは「過保護型」「高圧型」「甘やかし型」「無関心型」。
この4つの言葉を見て、「私の家庭は過保護でも高圧でもないし……」と思った親御さんへ。
実は……
親は誰でも知らず知らずのうちに
この4タイプのどれかに偏っていることがあるのです。

非行少年・犯罪者の育った家庭環境の事例とともに、
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偏っていない子育てはありません。
でも、少しでも真ん中に寄せる意識はできる。
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