地べたに直に座り脇に除毛クリームを塗る中年女性

そんな空間に突入するのは若干ためらわれたが、とある金曜日の13時にチェックイン。入ると玄関付近はなぜかプールによくある塩素のような匂いがツンときた。

すでにカプセルルームは満室で、玄関脇には色とりどりのスーツケースが置かれている。店員によれば「予約可能な最長期間である1ヶ月分をまとめて予約される方もいます」とのこと。

飲食スペースの奥には雑魚寝スペースやカプセルスペースがあり、ロッカールームには100以上のロッカーが並ぶ。洗濯機と乾燥機も完備され、住むにはまったく困らない。それに外観の印象以上に中は広く感じた。

お金はジップロックにいれて持ち歩く客もいた
お金はジップロックにいれて持ち歩く客もいた


地下は雑魚寝スペースとパウダールーム、漫画コーナーに日光浴スペースもあった。優美さんが言うように大浴場以外の至る所に監視カメラが複数台設置され、利用者はカメラの前でも気にすることなく裸でとうろつくという、ちょっと他では見られない光景も。

雑魚寝スペースでは真昼間にも関わらず10人ほどが熟睡していた。ゴジラのようなイビキをかく女性や、たまに「ガーーッ。ゴッ」と無呼吸になる女性もいて、ちょっと心配になった。

いっぽうで浴室やサウナスペースは無人で貸切状態。しかも椅子と風呂桶は整頓され、排水溝にはちぢれ毛ひとつ落ちてなく、古いとはいえ掃除が行き届き、清潔だ。素早く体を洗い、入湯。
やや熱めだがいい湯加減。サウナもいい塩梅だった。

記者はそのまま飲食スペースで優雅に仕事を始めた。気が向いたら再び風呂に入り、なかなか快適では、と思った矢先、16時頃から様子が変わり始めた。
カプセルで寝てた方々が起き始めたのだ。

まず170㎝くらいのがっちりした金髪格闘家ふうの女性が登場。強烈な匂いを放つ激辛ラーメンとおにぎりを食べ始めた。スマホの画面はマッチングアプリのメール画面だった。もしかしたら、アプリを介して客を引いているのかもしれない。

歌舞伎町ビル(撮影/集英社オンライン)
歌舞伎町ビル(撮影/集英社オンライン)

先ほどは無人だったロッカールームもザワザワし始めた。地べたに直に座り脇に除毛クリームを塗る中年女性や、風呂場にはなぜか立ったまま周囲にシャワーを撒き散らしながら豪快に体を洗う角刈りのおばさんが…。先ほどは整っていた桶も、湯切りもされずに水が入ったまま放置されるなど散乱している。

そしてサウナにはジップロックに入れた得体の知れない黄色い液体を直飲みしながら“ととのう”女性、その隣にはM字開脚で“具”が丸見え状態で美顔ローラーをコロコロする方まで…。